【交通事故損害賠償の知識】事故受傷から示談まで [交通事故]

GWにお出かけをして運悪く交通事故被害者になってしまった方も多いのではないでしょうか。
きょうは交通事故被害者の基礎知識を注意点を交えてお話しようと思います。


交通事故被害者といっても、死亡や重症を除く一般的な人身事故被害者のお話です。


怪我に関しては被害者により様々ですが、治療開始、治療終了、示談の流れは、特別な場合を除きほとんど同じです。


では、まず人身事故が発生したとしてお話をします。


怪我の程度により救急車を呼ぶか呼ばないかの選択になりますが、
これは常識的な現場での判断になります。


呼ぶ場合は問題がないのですが、呼ばない場合に注意しなくては
ならないことがあります。


直ぐに被害者自身が病院に行くのであれば問題は無いのですが、
その場ではちょっと違和感があるくらいなので、病院に行かず帰宅
する場合です。


事故当日は筋肉も意識も緊張しているため、それ程痛みを感じない
のですが、次の朝になるとかなり痛が強くなることがあります。


事故当日は病院に行っていない事から診断書もないので、当然人身
事故扱いにもなっていません。


このような場合を想定して、事故現場では次のことを実行し下さい。



1.加害者が任意保険に加入しているか確認する。


2.加入している場合、被害者の連絡先をメモして加害者に渡し、
 任意保険会社に事故があったことを連絡してもらう。
 

3.できるだけ早く任意保険会社の担当者から被害者に連絡するよう
 加害者に念を押す。


4.任意保険会社の担当者から連絡がきたら、保険会社名と担当者の
 連絡先をメモしておく。


※加害者の連絡先をメモするのを忘れても、警察に事故届けを出し
 ていますので、事故証明書を見ればわかります。あまり神経質に
 免許証番号等を控える必要はありません。


さて、次の日の朝にあちこち痛くなった場合は、病院にいかなくてはなり
ませんので、治療費を保険会社に支払ってもらう必要があります。


そこで、実際には次のようにします。


1.任意保険会社の担当者に電話して、現在の痛みの状況を説明する。


2.これから行こうとしている病院名と電話番号を告げる。


3.担当者に、病院に治療費は事故扱いで任意保険会社払いになること
 を連絡してもらう。


このようにしておけば、被害者が病院の受付に行き名前を言えば、
事故扱いで対応してくれます。


「交通事故ですね?」と聞かれると思いますが、聞かれない場合は
念のため「○○保険会社から連絡が来ていますか?」と聞いてみる
ことをお勧めします。


万が一、担当者がまだ連絡をしていない場合、通常の診察になり治療費
の支払いも発生します。


また、医師の診察の際に当然交通事故の話をすると思いますので、
そうなると事務所との連携が取れていないことからゴタゴタします。


そのごたごたを避けるためにも、受付で事故扱いでの受診かどうか
確認することが大切になります。


治療が始まりますが、頚椎や腰椎捻挫と診断された場合、最初は冷
やしてできるだけ安静にすることが治りを早くしますので、医師の
指示に従ってください。


また、急性期を過ぎたら症状によっては接骨院等に通った方が良い
かもしれません。


症状にもよりますが、軟部組織の損傷の捻挫であれば、数週間から
長くても3ヶ月程度で組織が修復し痛みは消えていきますので、痛み
が消えたら治療を終了して示談交渉を始めることになります。


治療を終了する際は、自覚症状がないか、あってもそれほど気になら
ないかを自分自身でよく確かめた後、医師とよく相談し決めてください。


示談交渉を始める時は、保険会社の担当者に治療が終了したことを
連絡してください。


そうすると、示談に向けての手続きが始まります。


被害者は何もする必要がないので、保険会社から総損害計算書と
免責証書(示談書)が送られてきますので、金額に納得したら
免責証書に必要事項を記入押印して返送します。


通常の捻挫であればこのような流れになりますが、軟部組織ではなく
神経の圧迫などにより症状が6ヶ月を経過しても残っているような場合
は、後遺障害の申請を検討することになります。


もし、後遺障害の申請をするのであれば、申請の結果が出てから示談
交渉に入ります。


これが、加害者が任意保険に加入をしている場合の事故受傷から示談
までの流れになります。


しかし、加害者が任意保険に加入をしておらず、自賠責保険だけの
場合、加害者の対応によっては結構厄介なことになります。


又、損害賠償額の面でもかなり不利になることがあります。


大きな理由として2つあります。


1つめは示談交渉の相手です。


自賠責保険が被害者と示談交渉をすることはありませんので、被害者
は加害者もしくは加害者の代理人と交渉することになります。


任意保険会社と示談交渉をするのであれば、事務的に損害額を算出し
て被害者に金額を提示し示談交渉をしますが、加害者と直接示談交渉
をする場合、加害者が交通事故損害賠償の知識を持っていないと考え
ることが普通ですので、とても厄介です。


加害者に損害の算出ができませんので、被害者が損害額を算出して
加害者に請求することになりますが、被害者にも損害賠償の知識が
ない場合、被害者自身が損害賠償知識を学習するか弁護士や行政書士
などのプロに相談することになります。


そうなると、弁護士や行政書士に費用を支払わなくてはなりませんが、
その費用自体を請求して受け取れるかは、任意保険に加入していない
加害者ですので疑問です。


2つめは賠償金の金額の差です。


自賠責保険の人身傷害部分の限度額は120万円ですので、120万円を
超えた部分は加害者本人の支払いになります。


加害者にお金がなければ、最高120万円の損害賠償になりますが、
120万円が全て傷害慰謝料(通院慰謝料)になるわけではありません。


人身傷害部分の限度額120万円には、治療費や通院交通費、休業損害も
含まれます。


ですので、極端な話、治療費・通院交通費・休業損害・慰謝料の合計
が120万円を超えてしまうと、治療費が最優先に支払われ、通院交通費
・休業損・慰謝料は、120万円から治療費を差し引いた金額しか支払わ
れません。


例えば、治療費が110万円かかったとすると、通院交通費・休業損害
・慰謝料の合計が100万円だとしても、120−110=10万円しかもらえ
ないことになります。


そのよう場合、残りの90万円を加害者に直接請求することになるので
すが、加害者が支払ってくれないと困ってしまいます。


これは、加害者が任意保険に加入していない場合のお話です。


本日のお話の中では、事故受傷から示談までの流れに関してでした
ので、示談の際の賠償金額に関してや、保険会社からの提示額が
適正であるかとういような内容は、又後日お話します。


ただ、交通事故損害賠償金の支払い基準は3通りあり、どの基準を
選択しても自由だとうことだけ知っておいてください。


支払い基準の大きな分類では、自賠責保険支払い基準、任意保険会社
が独自に定めた基準、地方裁判所支払い基準の3通りになります。



 「加害者が任意保険に加入していないとき」



■ 最後までお読みいただきましてありがとうございました。


本日は、事故が初めての方を対象に、事故受傷から示談までの流れ
をお話しました。


その中で、加害者が自賠責保険にしか加入していない場合、被害者が
不利益になることがお分かりいただけたと思います。


ただ、打つ手がないわけではありません。


もし、被害者自身が任意保険に加入をしていて、人身傷害特約を
つけていれば、人身傷害特約での対応が可能です。


その場合、自賠責保険の人身傷害の限度額120万円を超えた部分は、
人身傷害特約から支払われますので、加害者の自賠責保険だけの
支払いに比べて、支払額は多くなります。


多くはなりますが、加害者が任意保険に加入をしていた場合に比べる
と、事故の様態によってはかなりの損をすることになります。


理由としては、加害者の加入している任意保険は「対人賠償保険」
であり、被害者自身が加入している人身傷害特約は「傷害保険」
だからです。



●人身傷害保険と対人賠償保険の違い


通常ですと、加害者が任意保険に加入をしていれば、被害者が加害者
側の提示する賠償額に納得できなければ、交渉、あっ旋、調停、訴訟
という手段で賠償額を増額するために争うことができます。


しかし、人身傷害特約の場合、保険金額に対して争うことができま
せんので、交渉、あっ旋、調停、訴訟もできません。


その結果として、増額もできません。


何故金額を争うことができないのかと言うと、人身傷害保険は
ご自身がおかけになっている保険だからです。


傷害保険とは、例えば病気で入院した場合は1日5,000円ですとか
通院した場合は1日3,000円など最初から補償する金額が決まって
いる保険です。


又、他人の不法行為による損害を賠償するのではなく、ご自身の傷害
に対して支払われる保険ですので、金額を争うことができません。


分りやすくお話しますと、1日5,000円の入院特約を付けた契約を
して、怪我をした時に5,000円は少ないので8,000円にしてくれと、
後から訴訟を提起すようなものです。


その金額で納得して加入した保険ですので、契約もその金額で
交わされています。


しかし、加害者が加入している任意保険は対人賠償保険ですので、
損害を賠償する保険です。


いくら保険会社がこの金額が当社の規定ですと言っても、損害額に
納得できず被害者が立証した金額を保険会社に請求すれば、金額差
を争うことができます。


それが民事における損害賠償請求という事ですので、対人賠償保険と
人身傷害保険とは全く異なった性格のものになります。


これらは、加害者が大金持ちの場合は別として、加害者が任意保険に
加入をしているかいないかによって、被害者の受け取る賠償額に影響
が出てくるというお話でした。


せっかくですので、人身傷害保険と対人賠償保険に関してもう少し
お話します。


今度は、加害者が任意保険に加入していても被害者の人身傷害保険を
使うこともあるというお話です。


例えば、被害者にもかなりの過失があり、加害者の対人賠償保険を
使用すると、過失相殺のために賠償金額が人身傷害保険の支払額より
減ってしまような事例です。


この場合は、最終的な賠償額と人身傷害保険の支払額を比べることで、
どちらが得かを判断をします。


具体的には、対人賠償保険を使用して過失相殺をした金額と、人身傷害
保険による支払額を試算する事になります。


ここで注意をしなくてはならないことがあります。


被害者の過失割合が低い場合に人身傷害特約を使用すると、最終的
に損する事例です。


もともと人身傷害保険の支払い基準は、自賠責保険の基準に限りなく
近い最低限の基準です。


ですので、加害者が任意保険に加入していて、特に後遺障害が認定され
るような案件の場合は、地方裁判所支払基準での解決になりますので、
自賠責基準に限りなく近い人身傷害特約では大損する事になります。


しかし、不思議なことに被害者の過失が低いにも関わらず、被害者の
無知を悪用して、被害者が加入している自動車保険の担当者が、勝手
に人身傷害保険での対応をすることがあります。


被害者は、人身傷害保険と対人賠償保険の違いなど知りませんので、
知らない所でどんどん進んでしまいます。


最終的に、被害者の加入している保険会社の担当者が、加害者と示談
するからと書類を持ってきて、その書類に署名捺印すると人身傷害保
険の支払いが完了します。


地方裁判所支払い基準や自賠責保険支払い基準などの知識が全くなく、
保険会社から提示された低い基準の金額で納得してしまう被害者も多く、
かなりの損をしています。


では、何故被害者の保険会社がそのようなことをするかというと、
保険会社同士はお互いの利益の為に人身傷害特約を使用していると
考えることができるからです。


人身傷害特約であれば低い示談金で解決できますので、加害者の
保険会社の支払が低くなります。


人身傷害特約で支払われた保険金は、最終的に加害者の任意保険
に求償されます。


ですので、保険会社同士は別の事故で逆の立場になった場合、
同じように人身傷害で対応をすれば、低い示談金で解決でき、
お互い様と言う関係になります。


しかし、これはあくまでもわたしの憶測であり、実際にそうだとは言い
切れませんので、誤解のないようにお願いします。


最近の被害者側の保険会社も、親切な振りをして「人身傷害特約で
治療費など支払っておきますか?」などという対応を取ることが
多くなっていますので、その時はこのblogを思い出して下さい。


人身傷害保険と対人賠償保険の違いを、しっかりとご理解いただけれ
ばと思います。



被害者の最大の武器は知識です。
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