被災者は生活を優先してください~住宅ローン返済の例外と災害復興融資~ [債務]

法律上、住宅ローンは債務であり契約上その支払いを義務付けられています。

これは原則。しかし大抵の場合その例外があります。

当事者の置かれる環境や事情の変化に対応するためです。

そして今回の震災はその例外を生む環境にあります。

まず、被災者で現在住宅ローンを抱えている人は、
「当面、住宅ローンの心配をせずに、他にすべきことを優先していい」
と覚えておこう。

 ローン返済が滞ったとしても、被災者の場合は、後で手続きすることで「延滞扱いにならない」からである。

 住宅ローンの場合、個別の金融機関が対応策を決めるのだが、今回複数の銀行に取材をしたところ、阪神淡路大震災のときは被災者に関して延滞扱いにしないことで足並みを揃えていたことがわかった。執筆時点で銀行から正式発表されていないが、阪神淡路大震災の事例が今回の震災にも踏襲されると考えていいだろう。

 ちなみに今回、旧公庫ローンやフラット35を取り扱う住宅金融支援機構と、いくつかの銀行に対応策を問い合わせたところ、いずれも「被災者の方は、住宅ローン返済より身の安全の確保や生活再建を優先していただきたい」というコメントをもらっている。

ローン返済を「延滞」すると、どんな不利益があるのかを知っておきたい。延滞3回目で、個人信用情報センターに「延滞」と登録され(いわゆる“ブラックリスト”)、そうなると新規でローンを申し込んだとき断られる、クレジットカードを新規で作れない、ローンの借り換えができないなどの可能性がある。毎月ちゃんと返済することは、自分の信用を守っていくことにつながるのだ。

 給与の支払いがストップした、銀行口座にお金がなかったなどの理由で住宅ローン返済ができなった人は、少し生活が落ち着いたところで取引している金融機関に「被災者である」ことを伝える必要がある。金融機関にとってみると、ただの延滞なのか、被災したから延滞したのかの判断がつかないからだ。

 銀行で被災者表明をすることで、延滞を取り消す手続きが取られる。延滞利息(年率14%の日割り計算)もいったんは発生するが、申し出することで払い戻しが受けられる。

 当面は住宅ローン返済より他のことを優先してもいいが、被災者である申し出は必ず必要な手続きであることは、しっかり覚えておこう。

 地方自治体が交付する「り災証明書」を持参すると手続きはスムーズになる。他の手続きでも、り災証明書は必要になるので、できるだけ早く申請し入手しておくのが肝心だ。

知っておきたい見直し方法「元金据置」
ローン返済がきびしくなりそうなら、取引支店に見直しの相談に行こう。たとえば、「一定期間の元金据置」をすると、一定期間は利息だけの支払いとなる。たとえば毎月返済額7万円で、内訳が利息2万円、元金5万円だとすると、当面は利息の2万円だけ支払っていけばいい。今は低金利なので利息額が少ないローンが大半。利息だけの支払いですむ「元金据置」を当面の間活用し、元金部分を生活再建のお金に充てるのも有効な選択肢となる。

 元金返済が免除になるわけではないので、生活が落ち着いたところで通常返済に戻すことを忘れずに。一定期間据え置いた元金は、通常返済に戻した際にその分を上乗せするか、返済期間を延長することになる。緊急で生活資金を確保したい間だけ利用するといい見直し方法だ。

2009年12月に中小企業金融円滑化法が施行されたことに伴って、銀行における住宅ローン返済見直しの顧客対応は以前よりずいぶん整備されている。

落ち着いたところで支店に出向き、返済相談に乗ってもらおう。

自宅再建には、災害復興融資がある
住宅を再建するためにお金を借りたい場合は、「災害復興融資」がある。

 住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)が行う融資で、国のローンといってもいいものだ。自治体から、り災証明書の交付を受けている人が対象だ。

 金利は全期間固定で、基本融資が1.78%、特別加算が2.68%と低利であるのが特徴である(金利は2011年3月22日現在のもの)。

 融資限度額は、建物新築なら基本融資額1460万円+特別加算450万円、補修資金640万円(耐火・準耐火の住宅)など、取得する物件ごとに決まっている。

 住宅金融支援機構「被災者専用ダイヤル」0120-086-353または048-615-0420(土日も実施で9:00~17:00対応)にかけ、手順などアドバイスを受けるといい。実際に借りる手続きをするのは最寄りの銀行となる。

 リーフレットにある「親孝行ローン」の記述は、年老いた親が被災した場合に目を引くのだが、条件が絞られていることに注意。融資対象の住宅は被災住宅と同一市町村内で、「子」は同一市町村か隣接する市町村に住んでいることといった条件がある。

 つまり、「被災地に住む親が年金生活者なので、東京に住む自分がローンを組んであげたい」という親孝行には使えないのである。

 親のために何とかしたい場合は、親自身がローンを組み、子が連帯債務者になるほうが審査のハードルが低い(親も子も収入があることが前提)。

 住宅ローンを組んで取得した住宅が被災し、建築や補修のために新たに借り入れをすると、二重のローンとなり借入額の総額はぐんと増えてしまう。二重ローンを背負うことになる人に対して、国からの利子補給などの施策がされるかもしれないが、残念ながらもとのローンが棒引きになることはない。新たな借り入れについては、時間をかけて慎重に検討したい。
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震災による払い渋りにご用心! 損保は今後さらに払い渋る?! [保険]

一つの出来事が他の事に影響しそうな事態。
すべてはすべてに関係するというお話です。

これから起るかもしれないことに備えよう。

今回の震災は今後の日本経済に大きな打撃を与える事は確実。
その中でも、保険会社による保険金の支払額は、我々の想像を絶する金額になります。

生命保険や傷害保険をはじめとして、家や車の保険金の支払いがとんでもない金額になる事は、テレビからの報道で誰の目にも明らかです。

通常の保険では、「戦争、外国の武力行使、暴動、地震、噴火、津波によって生じた損害、核燃料物質などによって生じた損害は補償対象にならない」となっていて免責事項ですが、「地震・噴火・
津波危険補償特約」等が付帯されていれば支払いの対象になります。

おそらく、三陸地方の方々は過去のチリ地震での津波の経験から、この様な特約を付けている方が多いと考えられます。

この影響で懸念されるのは交通事故被害者に対して保険金の払い渋りが、今まで以上に強化されるのではないかということです。

震災に対して支払われる保険金の出費が増せば増すほど、保険会社は少しでも保険金の支払額を少なくしようと必死になり、その結果、今までは何も言わずにすんなり支払われた交通事故関連の保険金に対しても、払い渋る可能性があります。


■ 損保の払い渋りに被害者はどの様に対処したら良いか

結論から言ってしまうと、被害者は今まで以上に知識武装の重要性を認識し、真剣に学習をしなくてはならないという事です。

今までは黙って支払っていた保険を、今後は何だかんだと理由を付けて支払わない可能性があります。
強化される払い渋りとしては以下のようなものがあります。

・休業損害
・治療費
・傷害慰謝料

元々払い渋りは存在している項目で、保険会社や担当者によりかなりのばらつきがあり、すんなりと支払ってもらえた被害者さんもいれば、悪質な担当者に言いくるめられて払い渋られた被害者さんも
いました。

しかし、今まではある程度担当者の裁量に任されていた支払いに対し、これからは保険会社自体の方針として支払い額にかなりの制限目標を立ててくるのではと思われます。

知識に乏しい被害者にとっては、かなり厳しい状況を覚悟する必要があるのではないでしょうか。


実際に予測される事例を書いてみます。

◆ 休業損害
今までは、専業主婦の休業損害に対して何も言わずに支払っていた担当者が、専業主婦は働いていないので休業損害は払えませんなどという可能性があります。

また、給与所得者の場合には、事故受傷による有給休暇は欠勤扱いですので、取得した有給休暇の日数も休業損害の対象日数になります。

今までは、そのように説明していた担当者が、有給休暇は会社から手当てが出るので、保険金を二重取りする事はできませんなどといって支払わなくなる可能性があります。

◆ 治療費

いわゆる保険会社による「治療打ち切り」の時期が早まると予測されます。

少しでも病院に支払う治療費を削減する為、むち打ち症などの被害者に対しては、早い段階から治療中止の打診や要求をしてくる事が予測されます。

また、今までは見逃していた接骨院などの施術費を徹底的に削減する可能性があり、医師の診断書で施術の許可が無ければ通院出来ないなどといい、診断書の提出を求めてくるかもしれません。

そうした場合、医師が診断に接骨院の通院を指示する記述をすんなり書くとは思えませんので、実質的に接骨院への通院は難しくなると思われます。




◆ 傷害慰謝料

こちらは、震災以前から払い渋りの対象にはなっていますが、今後はもっと厳しくなると予測されます。

傷害慰謝料は通常実通院日数から算出をしていますので、治療の早期中止により実通院日数が減少し、スライドで慰謝料も減少することになります。

このほか、これは単なる憶測ですが、後遺障害の認定が今よりさらに厳しくなる可能性もあります。

頚椎捻挫、いわゆる「むち打ち症」の認定率に関しては、その時代を反映した数値となっています。

例えば、高度経済成長期に交通事故が多発した時代、むち打ちで半年通院すれば14級、1年で12級が認定されていた時期があります。

しかし、痛くも無いのに通院をして後遺障害認定を受けてしまう悪い輩が横行したことから、極端に認定率が下がりました。

その後、偏見的な認定渋りに対してマスコミが動いたことで、一旦は正常な認定率に戻ったのですが、バブルの崩壊と共にまた認定率が少しずつ下がってきていました。

このように、損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所での後遺障害認定は、本来は医証によって左右されなくてはならないにも関わらす、社会情勢によって左右されてきました。

今回の大震災により保険会社の経営状況が変化した場合、中立の立場で認定作業をしているはずの調査事務所は、過去のデータから推測し認定を厳しくすると考える事は、必ずしも考え過ぎではないと思います。

被害者ご自身のためですので、正しい知識を学習して払い渋りに備えて下さい。


被害者の最大の武器は知識です。

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詐欺的募金に注意 [blog]

ここのところテレビやインターネットそして路上でも「震災募金」を募る声が多数あります。

阪神大震災のときも大変な義援金ムーブメントと呼ぶべき現象が起りましたが、今回はTwitterまでも駆使して、かなり大規模になりました。
しかし、予想したとおり「募金詐欺」という輩も登場しています。

たとえば日本赤十字社をかたるフィッシングサイト
これなどは英語で作られ、外国人を対象にしている。

またYahoo!から「Yahoo!基金、Yahoo!インターネット募金、Yahoo!カスタマーサービスなどYahoo!の関係者を名乗る者から、東北太平洋沖地震義捐金寄付をその者の指定する銀行口座等に振り込んで欲しいなどの勧誘が電話、メール等の方法でなされている。

そしてドコモの「エリアメール」を装い、出会い系サイトや商品販売など誘導先のURLを貼り付けたものもあるようだ。

世の中何か「義援金」に募金しないと「非国民」と呼ばれそうな風潮なんだが、ウチの町の市役所の職員連中が駅前で募金箱を抱いて声高に募金活動をしている姿には何か違和感を感じてしまうのはなぜなんだろうか?

どこか信念のないただただ「空気」と「雰囲気」に動かされてるとしか思えないからだろうか?

もちろん「義援金」そのものには、くりおねも賛成です。

しかし、この機会に腹黒い連中を肥えさせることはどうしても避けたい。

われわれ個人には、誰からも強制されない権利があります。

それは「拒否する権利」。

それがたとえ善意から出たとおぼしき行為に対しても。

日本には「騙される方が悪い」という思想があります。

法律にも単なる勘違いである「錯誤」による行為は、始めから「無効」(民法第95条)とされるのに対し、詐欺を受けて行った行為は改めて「取消」(民法第96条)の意思表示をしないと無効とされません。

しかし、勘違いしないでほしい。

絶対に騙された人間より、「騙す」奴の方が悪いに決まってます。


タグ:義援金 詐欺
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