テレビ局は単なる営利企業なのか?公共性はないのか?? [blog]

俳優の高岡蒼甫さんが、フジテレビの韓流放送の批判をきっかけに事務所を退社したことが波紋を呼んでいますね。

この件に関して、コストが安く、その割に視聴率をとる韓流ドラマを多く放映するのは、営利企業として当たり前の選択だという意見もあります。

しかし私は、民放放送局を営利企業と言い切る点に、違和感を感じます。


(ただ、最初にお断りしておくと、私は民放を見なくなって久しく、韓流ドラマも見たことがないので、フジテレビの放送内容については言及できません。)

ケーブルテレビで、特定国のコンテンツのみを流す、ボリウッド(インド映画)チャンネルやブラジル音楽専用チャンネルがあっても、誰も批判しない。
もちろん韓流ドラマ専門チャンネルについても。これはチャンネルは無数にあり、観たい人が自分で選択して契約し、自分で料金を払って観るからだろう。

しかし、日本のテレビ局については事情が異なる。
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(1)免許事業である

日本のテレビ局は、総務省によって周波数の割り当てを受ける免許事業(許認可事項)です。
利用出来る電波の周波数域は限られている一方で、映像や音声の放送は影響度が高いと考えられているため、放送法によって規制されている。

有限な電波という貴重資源を優先的に割り当てられて、かつ新規参入がないからこそ、テレビ局には既得権が存在してます。

そして、だからこそテレビ局(放送事業者)は電波法で、外国人などが保有する株式の議決権比率が20%以上になると,電波法の規定によって免許が取り消されると決められている。
ただし、免許取り消しという事態を回避するため、放送事業者は放送法の規定に基づいて、該当する外国人などからの名義の書き換え請求を拒否でき、その議決権の行使は制限される(つまり、株保有比率と議決権比率は必ずしも一致しない)ので、ザル法ではある。

(2)テレビ局の電波利用料は優遇されている

衆議院議員河野太郎氏は、 2008年02月24日の「本邦初公開?―河野太郎公式ブログ ごまめの歯ぎしり」において、テレビ局の電波利用料負担は、総計で34億4700万円、一方で営業収益は3兆1150億8200万円と指摘している。

日本の電波利用料収入は2007年度で653.2億円、そのうち80%を携帯電話会社が負担しており、テレビ局は優遇されている。テレビ局が携帯電話並みに電波利用料を払えば、国の収入が増え復興にも役立つのではないかと思うのだが・・・

なお「民主党政策集INDEX2009」の「電波の有効利用」という項目には電波オークションの導入があげられていたのだが、どうなったのだろうか。
http://www1.dpj.or.jp/policy/manifesto/seisaku2009/06.html
(以下、「民主党政策集INDEX2009」より引用)
「産業活性化や新たな技術開発、国民の利便性向上につなげるため、有限な資源である電波(周波数)の有効利用に取り組みます。
既存利用者の効率利用と新規需要への迅速な再配分を図るため、(1)電波利用料に電波の経済的価値を反映させることによる電波の効率利用促進(2)適当と認められる範囲内でオークション制度を導入することも含めた周波数割当制度の抜本的見直し――などを行います。」

(3)テレビ局自身も、公共性について言及している

かつてフジテレビの日枝会長は、ライブドアによる買収問題に際して、記者会見で「放送は公共性の高い事業」であることを訴えていた。公共の電波を利用し、国の免許事業である放送事業には、普通の営利企業とは違った「公共性」が求められ、単なる市場経済、利益追求の面からのみ論ぜられるべきではないという主張だった。

個人的には、公共性のある番組がどれだけあるのか、果たしてあったとしても、公共性のあるテレビ局があるのかどうか疑問ではあるのだが。

このように優遇措置を受け、公共性について自ら言及しているのにもかかわらず、コストが安いから特定国の放送を増やすのが当然であるとするのはどうか、というのが私の違和感だ。放送事業に公共性があるのであれば、グローバル化の時代にあわせて、世界のさまざまな文化が反映されているのが望ましいのではないかと考える。

なお、テレビ局の番組編成については放送法第三条によって定められている。

(国内放送の放送番組の編集等)
第3条の2 放送事業者は、国内放送の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。

1.公安及び善良な風俗を害しないこと。
2.政治的に公平であること。
3.報道は事実をまげないですること。
4.意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。

2 放送事業者は、テレビジョン放送による国内放送の放送番組の編集に当たつては、特別な事業計画によるものを除くほか、教養番組又は教育番組並びに報道番組及び娯楽番組を設け、放送番組の相互の間の調和を保つようにしなければならない。

もし、やらせや、中立を装って事実をまげた報道があるのであれば、間違いなく問題があるはずだ。
また私は、公共性と、営利を追求をせざるをえない株式会社の2つを使い分けるテレビ局のダブルスタンダードに不信感を抱いている。

もっともこの問題については、テレビを見ないのが一番の解決策であるし、テレビは徐々に死に向かっているというのが、私の結論ではあります。


タグ:テレビ局
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