クレジットカードのショッピング枠の現金化業者ついに逮捕! [新聞記事]

警視庁は5日、クレジットカードのショッピング枠を現金化する手法で高金利の融資をしたとして、元貸金業者で飲食店経営の橋本幸治容疑者を出資法違反の容疑で逮捕した。

ショッピング枠現金化のカラクリ

1.ショッピング枠とは
クレジットカードには、キャッシング枠が付いているが、これを使い切ると、通常はそれ以上はお金を借りることが不可能になる。しかし、キャッシング枠がいっぱいでも、ショッピング枠が残っていれば、カードを用いての買い物は依然として出来る。

2.ショッピング枠の現金化
(1)一般的な手法
ショッピング枠を使って、商品券やチケット等の金券を購入し、これを売却する。これにより、現金が生まれる。融資を必要とする債務者にとっては、救いの綱となる。
(2)橋本容疑者の用いた手法
今回逮捕された橋本容疑者は、ショッピング枠を使って、顧客に自身の販売するネックレス等をカードを用いて50万円で購入させ、ネックレスを郵送し、その後「キャッシュバック」と称して40万円を渡していた。

3.橋本容疑者の脱法行為
橋本容疑者と顧客との関係を見ると、一見、ただの売主と買主であり、キャッシュバックという形で40万円を渡しただけのように見える。しかし、警視庁は以下の点から、今回の売買があくまで形式的な売買に過ぎないと判断した。
(1)ネックレスは実際は30円~120円のほぼ無価値のもの。
(2)顧客は商品を選べない。
(3)商品の発送があるのは初回のみ。2回目以降のネックレス購入者には、実際には商品の発送は行っていなかった。

つまり、橋本容疑者は売買契約を装って、50万円を顧客に融資。その際、利息として10万円を天引きしたことになる。
顧客は最終的には50万円をカード会社に支払わなければならない。その支払いが2か月後だったとすると、2か月で40万円が50万円になるのだから、この期間の利息は12.5%。年換算すると、150%。とんでもない暴利で50万円を借りたのと同じ負担を負うことになる。

出資法

(第5条)
金銭の貸付けを行う者が、年109.5パーセント(2月29日を含む1年については年109.8パーセントとし、1日当たりについては0.3パーセントとする。)を超える割合による利息(債務の不履行について予定される賠償額を含む。以下同じ。)の契約をしたときは、5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2.前項の規定にかかわらず、金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合において、年29.2パーセント(2月29日を含む1年については年29.28パーセントとし、1日当たりについては0.08パーセントとする。)を超える割合による利息の契約をしたときは、5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
3.前2項に規定する割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者は、5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。



これまで、このようなカード現金化の手法については違法性が疑われながらも、貸付と商品売買との線引きが難しく、貸金業法を所轄する金融庁も明言を避けてきた。

一方で、カード会社は換金目的での使用を規約で禁じていることから、業者についてカード会社を騙したとする詐欺罪の適用も検討されたが、被害者である顧客も共犯に問われる可能性があることから断念していた。

警視庁は今回、はじめて、出資法違反での摘発に踏み切ったが、いまだ司法の判断はないことから、このようなカード現金化の手法が違法かどうかは明確でない。摘発はしたものの、無罪放免という可能性もいまだある。

また、今回の警視庁の摘発の基準を踏まえ、
(1)価値判断が困難な自作の壺や絵画等を販売。
(2)複数の自作商品から選択させる。
(3)必ず商品は発送する。

このような業者が出て来た場合には、摘発それ自体が困難となるかもしれない。
とは言え、法定金利を大きく超える債務の負担に苦しむ者が後を絶たないのも事実である。
「売買契約の自由(原則として、いくらで何を買うかは国民の自由である)」と「債務者の保護」。両者のバランスを図りながら、カード現金化を規制する立法が早急に求められるところではある。


ただし、問題はそれだけにはとどまらない。
改正貸金業法によって、お金を借りる必要のある人々の金融難民化の受け皿はいまだにない。

正義漢ぶって「カード現金化」を抑え込んだにせよ、次にこれら難民たちがどこへいくのだろうか?


いっそのこと、旧法復活も視野に入れるのはどうなんだろうかとも時々考える。






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調停制度 被災地でこそ活用を [裁判]

今回の震災では、1万5000人以上が亡くなり、24万戸を超える建物が壊れた。
今後、相続や住宅の貸し借りなどを巡るトラブルが増えることが予想される。

最高裁は、手続きが簡単で裁判より手数料が安い「調停」の積極的な利用を呼びかけている。

そこで、今回は調停制度とはどのようなものか確認してみる。

調停とは、裁判所において、調停委員会が紛争の当事者を仲介し、紛争当事者間の話合いにより紛争を解決しようとする紛争解決制度である。

当事者双方の話合いによる合意に基づいて紛争の解決を図る手続であり、調停委員会が第三者として当事者双方の言い分を聞いて調停案を提案してくれる。

一般の民事紛争について通常裁判所で行われる民事調停と、家庭に関する事件について家庭裁判所で行われる家事調停とが代表的なもの。調停委員会は裁判官1人と民間人2人で構成される。

また、労働委員会による労働争議の調停や公害等調整委員会等による公害紛争の調停なども制度化されている。調停委員は,調停に一般市民の良識を反映させるため,社会生活上の豊富な知識経験や専門的な知識を持つ40歳以上70歳未満の人の中から選ばれる。

たとえば、建築関係の事件であれば一級建築士などの資格を持つ人,医療関係の事件であれば医師の資格を持つ人など事件内容に応じた専門的知識や経験のある調停委員が指定される。
 もっとも、調停では訴訟と違って判決のようなものはないので、双方が合意に達しなければ問題は解決しない。
 しかし、調停は訴訟に比べて、手続が容易であり、期間も訴訟に比較して短期間であることが多く、ほとんどは3回程度で終わる。
かかる費用も低額という利点がある。また、調停は,どちらの当事者の言い分が正しいかを決めるものではなく,調停委員は,当事者の言い分や気持ちを十分に聴いて当事者と一緒に紛争の実状に合った解決策を考えるというかたちをとるため、日本人には訴訟よりも馴染みやすい解決形式ではないだろうか。
調停で合意した内容は調停調書に記載され、判決と同じ効力を有する。調書に基づいて強制執行を行うこともできる。

今後の被災地での無料の調停相談会

 阪神・淡路大震災では、調停の申し立てが3年後にピークを迎えたという。今回の震災により発生した問題の解決方法の一つとして、調停の利用が考えられるのではないか。

 岩手県調停協会連合会主催
(1)10月2日(日)午前10時~午後4時
        場所:宮古市 陸中ビル3階会議室
(2)11月13日(日)午前9時~午後3時
        場所:奥州市 奥州総合福祉センター

問合せ先:盛岡地方裁判所事務局総務課
電話:019-622-3165
タグ:調停制度
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