コンビニ業界に画期的判決-値下げ制限は違法- [権利]

 コンビニエンスストア最大手「セブン―イレブン・ジャパン」(東京)の元加盟店主の男性(57)=福岡市博多区=が、ロイヤルティー(経営指導料)の計算方法の説明を受けず、値下げ販売も不当に制限されて損害を受けたとして、同社に約2600万円の支払いを求めた訴訟の判決が9月15日、福岡地裁であった。

 田中哲郎裁判長は「会社が値下げをやめるよう指導した行為は販売価格の自由な決定を拘束し、独占禁止法違反にあたる」と原告側の請求を一部認め、同社に約220万円の支払いを命じた。

 また、加盟店が同社に支払うロイヤルティー(経営指導料)の算出方法に関する説明義務違反も認めた。
 この「ロイヤルティーの算出方法」とは廃棄や万引きで「ロス」となった商品を売り上げに計上し、チャージを徴収する「ロスチャージ」といわれるコンビニ業界で用いられる特殊会計システムを指す。
 原告側の代理人弁護士によると、同社の値下げ制限行為を違法と判断し、賠償を命じる判断が出たのは初めてという。

 判決を要約すると、「価格販売の値下げは、加盟店の自由。廃棄リスクのある商品は値下げをしてでも販売した方が利益が上がるのだから、加盟店がそれを実施するのは当たり前。本部に制限する権限はない。ロスチャージ会計も契約時に加盟店に説明せよ」というもので、いわば、これまでの"本部側の常識"を覆す内容となった。

独占禁止法の規制とは?
 独占禁止法は、公正かつ自由な競争を促進し、経済運営の秩序を維持するための基本的ルールを定めた法律であり、私的独占・不当な取引制限・不公正な取引方法の3つを禁止している。
 
 今回の判決では、販売価格の自由な決定を拘束したことがこのうちの不公正な取引方法に該当すると判断されたものと思われる。

 コンビニエンスストアは、いまやすっかり我々の身近な存在として定着している。
 コンビニ業界においては、景気後退に伴い外食を控える人が増え、弁当や惣菜の販売は堅調である。しかし、他方で商品の売れ残りという問題も後を絶たず、従業員の負担も大きいと思われる。。

 今回の訴訟は、予定していた値下げ販売をしないようセブン―イレブン・ジャパン本社に指導されたこと、また、賞味期限切れなどで販売できなかった商品の損害を店側が被る方式だったため、加盟店が売り上げの中から本部に支払うロイヤルティーの額が高く、店側に不利になっていたことが発端であった。
 食料品の賞味期限を守ることは大切であるが、期限切れの迫った商品は低価格で販売するなど、コンビニでもデパートの食料品売場と同様に柔軟な対応を認めてもよいのではないだろうか。
 今回の判決は、現場の従業員の過酷な負担に配慮したものとして評価できる。
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