法科大学院は失敗だったのかもしれない [弁護士]

法科大学院.gif法科大学院、さっそく仕分け?
「定員適正化を計画的に進め、あり方そのものを抜本的に見直す」
11月21日、政府の行政刷新会議における提言型政策仕分けで、このような提言がされた。合格率の低迷や入学者の定員割れ等の問題を抱える法科大学院制度に対して、解決を迫った形になる。
今後、法科大学院のさらなる定員削減や、大学院に対する補助金の削減が予想される。

多すぎた法科大学院
法科大学院は司法制度改革の目玉として、法曹に必要な学識と能力を培うことを目的として設立された専門職大学院。
従来の事前規制型社会から、事後規制社会へと産業規制の在り方を移行させ、経済活動がよりスムーズに行われるようにするための下地作りの目的もあったとされる。

だが、法科大学院の乱立により大きな問題が生じることになった。
新司法試験受験者の7~8割を合格させ、合格者の目標は約3000人とするという当初の触れ込みに対して、現実には合格率は2~3割程度。平成23年度の合格者は数にして2000人程度にとどまる。
(それでも従来の合格率1~2%よりかなり高くなったのではあるが......)

新司法試験は法科大学院を修了してから3回までしか受験することになっており、合格できず企業などに就職しようとしても、既卒者となってからでは不利を強いられる。
合格者の就職状況も厳しい。急増した合格者に見合うだけの受け入れ先がなく、就職できない者が出始めている。

法科大学院進学はギャンブル?
一方で、法曹志願者は減少している。
法科大学院全体の定員は平成20年度に約5300人であったのに対し平成23年度には約3600人に落ち込んだ。それでも定員割れに追い込まれる法科大学院が続出しているという。
新司法試験の合格率に低さから、法科大学院へ進学することがかなり投機的な行為とみられているのだろう。

法科大学院は失敗か
 旧司法試験は予備校主導型とも言われ、テキストを暗記して吐き出すことに偏重しすぎるきらいがあった。
 その点を反省し、自分の頭で結論を出せる法曹を育てることが法科大学院の重要な使命だった。
 法科大学院での対話型の授業や、新司法試験における詳細な事例問題を踏まえればこの点はある程度の成功を収めたといえるのかもしれない。
 だが、それと引き換えに抱え込んだ問題は大きい。
「法曹志願者が激減しているんですね。法科大学院の失敗なんですよ。本当に抜本的見直しをしないと、国家の危機になります」というのは弁護士出身の階猛衆院議員。
法科大学院制度自体を廃止すべきという弁護士も少なくないという。

 法科大学院を設立したはいいが、企業への就職にさほど役立つでもなく、また司法試験に合格しても就職先が見つからない者もいる。多くの人材を社会で滞留させたことによる社会的損失はかなり大きいように思われる。

 また法曹人口の急増と競争激化により、収入の減少した弁護士が約7割に上るという。
 もっとも弁護士の場合、元々基本的に「自営業」なのだから競争に負けた者の収入が減ったり、市場から退場するのは自由競争原理からいって当たり前なのだが、その点を弁護士先生たちは気づいていないというところもある。

 企業の不法行為や反社会的勢力の活動に手を貸した弁護士が最近はよく報道で取り上げられるようになったことについて、「法曹界の競争激化」のためという意見もあるが、従来から彼らには節操があったとはいえない。

 職業倫理面における法曹の質の低下が起きないかも今後は注視する必要がある。法科大学院が多大な社会的損失と法曹の質の低下を招いているとしたら、国民のためになっているとは必ずしもいえないだろう。

 だが、法科大学院に入学しなければ法曹になる道が開かれないのも事実。
 法科大学院の定員はどの程度が適正か、そもそも法科大学院を存立させるべきか、難しい判断が今後は迫られることになる。



タグ:法科大学院
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