公正証書は恐ろしさとは?未公開株購入で財産差し押さえ被害 [債務]

公正証書は恐ろしい!未公開株購入で財産差し押さえ被害相次ぐ。

一昨年の12月、証券会社社員を名乗る男から持ちかけられた未公開株の購入話に乗ってしまった都内70代男性が、「未公開株代金の支払いがなければ財産を差し押さえる」との内容の公正証書を勝手に作られ、その財産を差し押さえられた。
同様の被害は少なくとも10数件にのぼるとみられており、今後、一層の警戒が求められている。

【今回の投資詐欺の手口】
1 勧誘電話
まず、証券会社の社員を名乗り、「うちの顧客が2000万円の未公開株を買うにあたって、あなたの名義を貸して欲しい。代金は、うちの顧客が支払うから、あなたは一円も支払わなくていい。お礼はさせてもらう。」と、ターゲットにもうけ話を持ちかける。

2 必要書類等の送付依頼
ターゲットがもうけ話に乗ってきたら、購入する未公開株の譲渡手続きに必要だとの口実で、印鑑証明・実印の押印・身分証明書のコピーを送付させる。

3 公正証書を作成したい旨の通知
ターゲットに対し、「こういったことはきちんとしたいから、今回の契約内容を公正証書にしたい」と伝え、一応の了承を得る。(契約書との違いがわからず了承するケースが多いという)

4 公正証書の作成
上記2にてターゲットが送って来た印鑑証明・実印の押印・身分証明書のコピーを用いて公正証書作成の委任状を偽造。その委任状を公証役場に提出。
公証人に「未公開株の代金として2000万円を支払う。これが履行されない場合は、●●の財産につき、強制執行を認める。」という内容の公正証書を作成してもらう。

5 株券の送付
実際に株券を送り、信用させる。

6 未公開株購入代金の支払請求
代金を支払うはずであった顧客が支払えなくなったとして、代わりに代金を支払うよう請求。

7 ターゲット財産の差し押さえ
ターゲットが、代金の支払いを拒否した場合、公正証書に基づき、その財産を差し押さえる。

※ 未公開株
証券取引所で売買が出来ない種類の株式を指す。もっとも、譲渡価格等の条件面で合意すれば、当事者間での売買は可能である。
証券取引所を通さないため、その取引においては不透明な部分が多く、トラブルや詐欺も後を絶たない。

※ 公正証書
公証人が私法上の権利義務に関する事実(契約・遺言等)について作成した証書を指す。公証人が、元検察官や元裁判官といった高度な法律専門職の公務員によって担われていることから、裁判手続上、公正証書に記載されている内容の信ぴょう性はかなり高く評価される。
仮に、公正証書の中に「未払い等があった場合には、債務者はただちに強制執行に服する」という内容が記載されていれば、訴訟や調停といった裁判手続を経ることなく差押え等の強制執行の申し立てが可能となる。



投資をめぐる詐欺の手口は巧妙化しています。今回のケースでは、実際に株券も送られてくるというから、驚きですが、既に2の段階で実印の印影と印鑑証明書のコピーを送った時点でアウトなのである。
実印はそれ自体では何の意味もないが、それが印鑑登録されて、登録証明書と印鑑の印影が合体された時点で、それが揃った書類は本人があるいは本人の了承のもと作成されたという法律上の推定をもたらす。

つまり、これを他人に預けた時点で何をされても仕方がない状態を作ってしまうことを忘れてはならない。

そして、「公正証書」は法律上「債務名義」と呼ばれるが、これには「強制執行が可能になる文書」という意味がある。
「債務名義」は公正証書のほかに「勝訴判決」の証書がある。

つまり「公正証書」を作るということは「裁判に負けた」と同等の価値があることを覚えておいてほしい。
あくまで「公正」というニュアンスに惑わされてはいけません。

この機会に、ぜひ、皆さんの大事な人に、実印を押す危険性について注意喚起を行っていただきたい。
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