破産手続き活用して殺人事件被告から2億円超回収 「逃げ得許さない」 [新聞記事]
大阪府内で複数の男女に暴行し、うち2人を死亡させたとして、殺人などの罪に問われた男性被告=1、2審無期懲役判決、上告中=に対し、被害者や遺族ら15人が破産を申し立て、1人当たり数百万~4千万円の被害弁償が行われていたことが2日、関係者への取材で分かった。
犯罪被害者が加害者に賠償を求めるには新たに民事訴訟を起こすのが一般的。しかし、勝訴しても賠償金が支払われないことも多く、破産手続きを活用することで確実に所有財産を弁償に充てさせることができたという。
犯罪被害者への賠償のための破産手続き申し立てについては、一連のオウム真理教事件でも教団に対して行われたが、個人を相手取ったケースは珍しいという。
被害者弁護団によると、今回の被告には1億円以上の財産があるとみられていた。しかし、損害賠償請求訴訟を起こせば事実関係を争ったり、財産を隠したりすることが予想された。
そこで、弁護団は平成20年4月、被害者への慰謝料を債権として大阪地裁へ被告の破産を申し立てた。破産手続きの開始決定が出ると財産の管理処分権は裁判所が選任した破産管財人に移るため、被告側に財産を隠されることなく、昨年8月の手続き終了までに2億数千万円を回収した。
このため、手続きにかかった費用などを除き、慰謝料の総額約4億5千万円のうち約60%の支払いを受けることができたという。
犯罪被害者の支援などに携わるNPO法人「大阪被害者支援アドボカシーセンター」代表の堀河昌子さんは「犯罪被害者の経済的な苦しみは深刻。『逃げ得』も多いので、破産手続きによって確実に被害弁償が受けられるとしたらありがたい」と話している。
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世情よく話題になるのは「自己破産」ですが、このケースでは債務者自身が破産を申し立てるのではなく、債権者である被害者側が申し立てたケースです。
本来、破産制度は債権者が債務者の財産を包括的に把握して、そこから弁済を受けることをいいます。ですので「自己」破産は本来破産法上では例外として扱われていました。
破産が申して立てられれば、裁判所から弁護士が管財人として選任され、管財人が債務者の全財産を管理します。
そのおかげで、債務者が残りの財産を無駄に消費したり、隠匿することを防ぐことができるのです。