【交通事故損害賠償の知識】交通事故と慰謝料 [交通事故]

本日は、事故で怪我をして入院や通院をした際に請求する
慰謝料のお話です。


交通事故で慰謝料を請求するのはどなたでもご存知のことですが、
実際にどのような算出方法でいくらぐらいもらえるかに関しては、
ほとんどご存知ないと思います。


交通事故の慰謝料は、どのような名目でいくらぐらいもらえるか
お知りになりたいと思いますので、簡単にご説明します。


慰謝料の算出基準には、自賠責保険支払基準、任意保険会社独自の
基準、地方裁判所支払基準の3通りがありますが、本日は基礎知識
ですので、自賠責保険の支払基準における慰謝料についてお話を
させていただきます。


交通事故の慰謝料は、入院慰謝料、通院慰謝料、後遺障害慰謝料の
3つがありますが、自賠責保険では入院と通院の金額が同額ですので、
入通院慰謝料(傷害慰謝料)と後遺障害慰謝料の2種類です。



■ 自賠責保険支払基準 入通院慰謝料


自賠責保険における入通院慰謝料の計算は、単純に入院や通院をした日数
いわゆる実通院日数で算出しますが、自賠責保険支払基準では実通院日数
の2倍まで支払うとしていますので、通常は実通院日数を2倍した数字で
計算をします。


ここで注意したいのは、実通院日数を2倍した数字が総治療期間を超えな
いこと、簡単に言えば治療を開始した日から治療を終了した日までの期間
(日数)を超えないことです。


例えば、治療した期間が90日で実際の通院(実通院日数)が50日だと
すると、50×2=100日で計算をするのではなく、治療した期間(総治療
期間)の90日で計算することになります。


ちょっとややっこしいようですが、式にすると以下のようになります。


総治療期間≧実通院日数×2


要するに、通院した日数を2倍しても治療した期間以上の日数は
カウントしないということです。


では、1日入院や通院をするといくらかという事ですが、自賠責保険
では1日4,200円で計算します。


ですので、先ほどの例で総治療期間が90日、実通院日数が50日であれば、
慰謝料の対象になる日数は90日ですので、90日×4,200円で378,000円が
自賠責保険支払基準における傷害慰謝料ということになります。


このお話をすると、「え?50日も通院してたったそれだけ!?」
「加害者は一度も謝りに来ないし、電話もないのは不誠実では?
そのことで慰謝料の増額が出来ないのですか?」というご質問を良く
受けます。


被害者さんのお気持ちは良く分かるのですが、通常は謝り来ないこと
だけで慰謝料を増額するのは無理とお考えになっていただいた方が良い
と思います。


確かに、地方裁判所支払い基準のひとつ「赤い本」では慰謝料増額事由
という部分で「加害者に故意もしくは重過失又は著しく不誠意な態度等
がある場合に慰謝料の増額を要求できる」としていますが、ここで言う
著しく不誠意な態度は、謝罪しなことを言っているわけではありません。


気になる部分でもありますので、「著しく不誠意な態度」に関しては、
【続きを読む】で詳しくお話をします。


話がそれましたが、通院期間が短く後遺障害も残らないような場合、
自賠責保険の人身傷害部分の限度額の120万円でだいたい足ります。


自賠責保険は、自動車を運行する際に必ず加入をしなくてはならない
強制保険の一種ですので、その支払金額は最低限になっています。


もし、人身傷害限度額120万円を超えてしまった場合、その部分の
支払をするのが任意保険会社になります。


ですので、任意保険が対応してくれていますが、事故の損害賠償が
120万円以下であれば、任意保険からの持ち出しはありません。


ちょっと分かり難いのですが、交通事故で人身傷害が発生し治療費
通院交通費・休業損害等を被害者に支払う場合、先ず最初に車輌に
強制的にかけられている自賠責保険からの支払いになります。


任意保険は、治療費や休業損害を120万円の限度まで自賠責保険に対
し請求をし、病院や被害者に支払ますが、これを任意一括と呼びます。


交通事故の被害者になってしまったら、自動車保険の仕組みに関して
必ず理解する必要があり、理解をしていないと言い方が悪いのですが、
任意保険会社にある意味で騙される可能性もあります。


任意保険会社は、自賠責保険に請求した保険金をあたかも任意保険会社
が支払っているように話しをしますので、被害者さんは任意保険会社に
治療をさせてもらっているような気持ちになることもあります。


また、勘違いさせる目的でそのような言い回しをする担当者もたまに
存在しますので、知識のない被害者さんは注意が必要です。


任意保険会社に「もう少し治療をさせてください」などと言っている
被害者さんをたまに見かけますが、加害者と被害者の立場が逆転して
いますので、そのあたりがご理解ができないようですと危険かもしれ
ません。


加害者の賠償責任は任意保険会社にありますので、治療のお願いをする
必要など全くありません。


治療は被害者の損害であり被害者の正当な権利ですから、怪我をさせた
加害者に対し、治療をさせてくださいとお願いをする被害者はいないと
思います。


任意保険会社にうまく誘導され、加害者と被害者の立場が逆転した交渉
になってしまうと、もらえるものももらえなくなります。


本日は、自賠責保険支払基準での入通院慰謝料の計算方法と、被害者の
治療の権利についてお話をしました。







被害者の最大の武器は知識です。

続きを読む


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:自動車
川崎市で遺言相続なら行政書士工藤幸弘事務所 大阪市で過払い金請求なら高橋修法律事務所

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。