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【交通事故損害賠償の知識】交通事故と慰謝料 [交通事故]

本日は、事故で怪我をして入院や通院をした際に請求する
慰謝料のお話です。


交通事故で慰謝料を請求するのはどなたでもご存知のことですが、
実際にどのような算出方法でいくらぐらいもらえるかに関しては、
ほとんどご存知ないと思います。


交通事故の慰謝料は、どのような名目でいくらぐらいもらえるか
お知りになりたいと思いますので、簡単にご説明します。


慰謝料の算出基準には、自賠責保険支払基準、任意保険会社独自の
基準、地方裁判所支払基準の3通りがありますが、本日は基礎知識
ですので、自賠責保険の支払基準における慰謝料についてお話を
させていただきます。


交通事故の慰謝料は、入院慰謝料、通院慰謝料、後遺障害慰謝料の
3つがありますが、自賠責保険では入院と通院の金額が同額ですので、
入通院慰謝料(傷害慰謝料)と後遺障害慰謝料の2種類です。



■ 自賠責保険支払基準 入通院慰謝料


自賠責保険における入通院慰謝料の計算は、単純に入院や通院をした日数
いわゆる実通院日数で算出しますが、自賠責保険支払基準では実通院日数
の2倍まで支払うとしていますので、通常は実通院日数を2倍した数字で
計算をします。


ここで注意したいのは、実通院日数を2倍した数字が総治療期間を超えな
いこと、簡単に言えば治療を開始した日から治療を終了した日までの期間
(日数)を超えないことです。


例えば、治療した期間が90日で実際の通院(実通院日数)が50日だと
すると、50×2=100日で計算をするのではなく、治療した期間(総治療
期間)の90日で計算することになります。


ちょっとややっこしいようですが、式にすると以下のようになります。


総治療期間≧実通院日数×2


要するに、通院した日数を2倍しても治療した期間以上の日数は
カウントしないということです。


では、1日入院や通院をするといくらかという事ですが、自賠責保険
では1日4,200円で計算します。


ですので、先ほどの例で総治療期間が90日、実通院日数が50日であれば、
慰謝料の対象になる日数は90日ですので、90日×4,200円で378,000円が
自賠責保険支払基準における傷害慰謝料ということになります。


このお話をすると、「え?50日も通院してたったそれだけ!?」
「加害者は一度も謝りに来ないし、電話もないのは不誠実では?
そのことで慰謝料の増額が出来ないのですか?」というご質問を良く
受けます。


被害者さんのお気持ちは良く分かるのですが、通常は謝り来ないこと
だけで慰謝料を増額するのは無理とお考えになっていただいた方が良い
と思います。


確かに、地方裁判所支払い基準のひとつ「赤い本」では慰謝料増額事由
という部分で「加害者に故意もしくは重過失又は著しく不誠意な態度等
がある場合に慰謝料の増額を要求できる」としていますが、ここで言う
著しく不誠意な態度は、謝罪しなことを言っているわけではありません。


気になる部分でもありますので、「著しく不誠意な態度」に関しては、
【続きを読む】で詳しくお話をします。


話がそれましたが、通院期間が短く後遺障害も残らないような場合、
自賠責保険の人身傷害部分の限度額の120万円でだいたい足ります。


自賠責保険は、自動車を運行する際に必ず加入をしなくてはならない
強制保険の一種ですので、その支払金額は最低限になっています。


もし、人身傷害限度額120万円を超えてしまった場合、その部分の
支払をするのが任意保険会社になります。


ですので、任意保険が対応してくれていますが、事故の損害賠償が
120万円以下であれば、任意保険からの持ち出しはありません。


ちょっと分かり難いのですが、交通事故で人身傷害が発生し治療費
通院交通費・休業損害等を被害者に支払う場合、先ず最初に車輌に
強制的にかけられている自賠責保険からの支払いになります。


任意保険は、治療費や休業損害を120万円の限度まで自賠責保険に対
し請求をし、病院や被害者に支払ますが、これを任意一括と呼びます。


交通事故の被害者になってしまったら、自動車保険の仕組みに関して
必ず理解する必要があり、理解をしていないと言い方が悪いのですが、
任意保険会社にある意味で騙される可能性もあります。


任意保険会社は、自賠責保険に請求した保険金をあたかも任意保険会社
が支払っているように話しをしますので、被害者さんは任意保険会社に
治療をさせてもらっているような気持ちになることもあります。


また、勘違いさせる目的でそのような言い回しをする担当者もたまに
存在しますので、知識のない被害者さんは注意が必要です。


任意保険会社に「もう少し治療をさせてください」などと言っている
被害者さんをたまに見かけますが、加害者と被害者の立場が逆転して
いますので、そのあたりがご理解ができないようですと危険かもしれ
ません。


加害者の賠償責任は任意保険会社にありますので、治療のお願いをする
必要など全くありません。


治療は被害者の損害であり被害者の正当な権利ですから、怪我をさせた
加害者に対し、治療をさせてくださいとお願いをする被害者はいないと
思います。


任意保険会社にうまく誘導され、加害者と被害者の立場が逆転した交渉
になってしまうと、もらえるものももらえなくなります。


本日は、自賠責保険支払基準での入通院慰謝料の計算方法と、被害者の
治療の権利についてお話をしました。







被害者の最大の武器は知識です。

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【交通事故損害賠償の知識】「治療打切りと言われたら?!」 [交通事故]

前回の記事では、事故受傷から示談までの流れと、対人賠償保険
と人身傷害保険の違いについてお話しました。


今回は、通院治療に関してのお話をしようと思います。


交通事故で怪我をした場合、被害者さんが最初に心配することは、
加害者もしくは保険会社が最後まで治療費を支払ってくれるのか、
巷の噂で聞く「治療の打ち切り」をされ完治するまで治療が出来ない
のではないか、ということだと思います。


骨折や挫傷など器質的な怪我に関しては、目に見えるいわゆる他覚的
な症状ですので、それほど心配をすることはないのですが、頚椎及び
腰椎捻挫等では、目に見えない原因により痛みや痺れを発症している
ことがあり、


頚椎捻挫や腰椎捻挫では、痛みが目で見えないことから、医師に症状
を話しても「本当に痛いの?」と思われていないか、周りの人に
「仮病で通院?」と疑われてはいないか、このまま治療を続けてても
大丈夫だろうかと余計なことを考え不安になる被害者さんも多いと思
います。


また、噂で聞く保険会社による「治療の打ち切り」になったらどうし
ようと、「治療打ち切り」自体が正当なものであるどうかもわからず、
ただ不安になっている被害者さんも沢山います。


ほとんどの被害者さんは、保険会社による「治療の打ち切り」を鵜呑
みにしていますが、実際は保険会社が一方的に被害者の治療を中止さ
せることはできません。


「治療打ち切り」とう言葉は、保険会社が言い出したのか、被害者さん
が言い出したのか分かりませんが、加害者の不法行為による怪我で通院
をている被害者に対し、加害者が一方的に治療を中止させるなど、どう
考えてもおかしな話です。


保険会社は加害者に代わって治療費という債務の支払をしています。


医療機関での治療費は加害者の不法行為による怪我の治療費ですので、
当然損害賠償の対象になることから、保険会社が支払っています。


保険会社が治療費を医療機関に直接支払っている場合が多いので、
損害賠償の実感がないと思いますが、例えば加害者が無保険で治療費
を支払ってくれない場合、治療費は損害賠償として加害者に請求する
ことになります。


また、示談の際に損害額の計算書を作成しますが、治療費も損害と
して記載されています。


ですので、治療費は加害者の不法行為による損害であることを確実に
認識し、保険会社が一方的に治療を中止すると言っていること自体が
全く根拠ないことであり、加害者の代理として本末転倒である事を
ご理解下さい。


保険会社が一方的に治療費を支払わないというのは、加害者の債務の
支払責任を勝手に放棄しているのと同じで、車で他人の家の塀を壊し
ておいて、修理代は払いませんと言っているようなものです。


ただ、実際に保険会社に病院の治療費の支払を一方的に中止された
経験をお持ちの被害者さんもおられると思います。


どうしてそのようなことを保険会社ができるかという根拠を
お話します。


治療の打ち切りというのは、治療費を今後払いませんよという意味
ではなく、一旦治療費の支払いを保留させてもらいますという意味
になります。


この違いは大変重要ですので、しっかりとご理解いただきたいのです
が、もう支払わないのではなく最終的には支払うことを意味します。


しかし、保険会社に治療費は払いませんと脅かされると、今後の治療
費は被害者の自腹になってしまうと勘違いをしてしまいます。


そこが保険会社の狙いなのですが、被害者がもし治療を継続し治療費
を支払った場合、保険会社は示談の際に被害者が支払った治療費を
被害者の損害として賠償しなくてはなりません。


このことを被害者は知りませんので、保険会社が治療打ち切りと言って
来ると慌ててしまうわけです。


しかし、被害者が立替えて治療を継続しても、立替えた治療費は回収
できることさえ知っていれば、健康保険を使用し3割負担分を立替え
治療を継続する選択肢が生まれます。


※ 交通事故の治療に健康保険を使用する際は、「第三者行為届け」が
  必要になりますので、病院の窓口で相談してください。


保険会社がどうして途中で治療費の支払いを保留できるかですが、
これには法的な根拠があります。


民事損害賠償では、損害額が確定した時点で損害を賠償すればよい事
になっていることから、治療費としての損害も治療が終了し金額が確定
した時点で支払えばよい事になります。


任意保険会社が任意一括対応で治療費の支払をしていますが、単なる
内払ですので、支払に対して法的拘束力がありません。


保険会社が「今月で治療費の支払いを中止します」「来月一杯で治療を
終了して下さい」「後はご自身の健康保険を使って治療をして下さい」
など、色々な言い方をして治療を中止させようとします。


しかし、治療費を支払わないと言っているのではなく、治療費の立替を
止めますよと言っていることに気付いてください。


先ほどお話をしたように、被害者が健康保険を使用して自腹で治療を
継続した場合でも、示談の際に被害者自身が支払った治療費の回収が
できるこを知っておいてください。


そうすれば、「治療打ち切り」の不安や恐怖を感じることもなくなり、
症状が軽快するまで治療を継続できます。


被害者はあくまでも被害者です。


被害者さんの中には、保険会社に治療をさせてもらっていると勘違い
している方もいますが、保険会社は加害者の債務の支払責任があり、
加害者の立場で治療費を払っています。


被害者は賠償をしてもらう立場でなくてはならないのに、いつしか
関係が逆転し、被害者が加害者の代理の保険会社に対して「お願い
ですからもう少し治療させてください」と言うような関係になって
います。


被害者自身の知識不足が一番の原因ですが、治療をさせてやってい
るような振りをして話しをする保険会社にも問題があります。


いずれにしても、保険会社から治療を中止する、打ち切るなどといわれ
ても、仕方がないから治療を止めようなどと思わないで下さい。


痛いものは痛い、治療が必要であれば治療を継続する勇気が被害者に
は絶対必要です。


保険会社の巧みな言葉に誘導され治療を止めてしまった場合、
もし後遺障害が残っても誰も面倒を見てくれません。


治療費の支払い一つを取り上げても、被害者に知識があるかないか、
知っているか知らないかで被害者の今後の明暗を分けるのが、交通
事故損害賠償の世界です。


交通事故損害賠償が、それほど甘いものでないことをお分かりいただ
ければ、この記事にも意味があります。



被害者の最大の武器は知識です。



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【交通事故損害賠償の知識】事故受傷から示談まで [交通事故]

GWにお出かけをして運悪く交通事故被害者になってしまった方も多いのではないでしょうか。
きょうは交通事故被害者の基礎知識を注意点を交えてお話しようと思います。


交通事故被害者といっても、死亡や重症を除く一般的な人身事故被害者のお話です。


怪我に関しては被害者により様々ですが、治療開始、治療終了、示談の流れは、特別な場合を除きほとんど同じです。


では、まず人身事故が発生したとしてお話をします。


怪我の程度により救急車を呼ぶか呼ばないかの選択になりますが、
これは常識的な現場での判断になります。


呼ぶ場合は問題がないのですが、呼ばない場合に注意しなくては
ならないことがあります。


直ぐに被害者自身が病院に行くのであれば問題は無いのですが、
その場ではちょっと違和感があるくらいなので、病院に行かず帰宅
する場合です。


事故当日は筋肉も意識も緊張しているため、それ程痛みを感じない
のですが、次の朝になるとかなり痛が強くなることがあります。


事故当日は病院に行っていない事から診断書もないので、当然人身
事故扱いにもなっていません。


このような場合を想定して、事故現場では次のことを実行し下さい。



1.加害者が任意保険に加入しているか確認する。


2.加入している場合、被害者の連絡先をメモして加害者に渡し、
 任意保険会社に事故があったことを連絡してもらう。
 

3.できるだけ早く任意保険会社の担当者から被害者に連絡するよう
 加害者に念を押す。


4.任意保険会社の担当者から連絡がきたら、保険会社名と担当者の
 連絡先をメモしておく。


※加害者の連絡先をメモするのを忘れても、警察に事故届けを出し
 ていますので、事故証明書を見ればわかります。あまり神経質に
 免許証番号等を控える必要はありません。


さて、次の日の朝にあちこち痛くなった場合は、病院にいかなくてはなり
ませんので、治療費を保険会社に支払ってもらう必要があります。


そこで、実際には次のようにします。


1.任意保険会社の担当者に電話して、現在の痛みの状況を説明する。


2.これから行こうとしている病院名と電話番号を告げる。


3.担当者に、病院に治療費は事故扱いで任意保険会社払いになること
 を連絡してもらう。


このようにしておけば、被害者が病院の受付に行き名前を言えば、
事故扱いで対応してくれます。


「交通事故ですね?」と聞かれると思いますが、聞かれない場合は
念のため「○○保険会社から連絡が来ていますか?」と聞いてみる
ことをお勧めします。


万が一、担当者がまだ連絡をしていない場合、通常の診察になり治療費
の支払いも発生します。


また、医師の診察の際に当然交通事故の話をすると思いますので、
そうなると事務所との連携が取れていないことからゴタゴタします。


そのごたごたを避けるためにも、受付で事故扱いでの受診かどうか
確認することが大切になります。


治療が始まりますが、頚椎や腰椎捻挫と診断された場合、最初は冷
やしてできるだけ安静にすることが治りを早くしますので、医師の
指示に従ってください。


また、急性期を過ぎたら症状によっては接骨院等に通った方が良い
かもしれません。


症状にもよりますが、軟部組織の損傷の捻挫であれば、数週間から
長くても3ヶ月程度で組織が修復し痛みは消えていきますので、痛み
が消えたら治療を終了して示談交渉を始めることになります。


治療を終了する際は、自覚症状がないか、あってもそれほど気になら
ないかを自分自身でよく確かめた後、医師とよく相談し決めてください。


示談交渉を始める時は、保険会社の担当者に治療が終了したことを
連絡してください。


そうすると、示談に向けての手続きが始まります。


被害者は何もする必要がないので、保険会社から総損害計算書と
免責証書(示談書)が送られてきますので、金額に納得したら
免責証書に必要事項を記入押印して返送します。


通常の捻挫であればこのような流れになりますが、軟部組織ではなく
神経の圧迫などにより症状が6ヶ月を経過しても残っているような場合
は、後遺障害の申請を検討することになります。


もし、後遺障害の申請をするのであれば、申請の結果が出てから示談
交渉に入ります。


これが、加害者が任意保険に加入をしている場合の事故受傷から示談
までの流れになります。


しかし、加害者が任意保険に加入をしておらず、自賠責保険だけの
場合、加害者の対応によっては結構厄介なことになります。


又、損害賠償額の面でもかなり不利になることがあります。


大きな理由として2つあります。


1つめは示談交渉の相手です。


自賠責保険が被害者と示談交渉をすることはありませんので、被害者
は加害者もしくは加害者の代理人と交渉することになります。


任意保険会社と示談交渉をするのであれば、事務的に損害額を算出し
て被害者に金額を提示し示談交渉をしますが、加害者と直接示談交渉
をする場合、加害者が交通事故損害賠償の知識を持っていないと考え
ることが普通ですので、とても厄介です。


加害者に損害の算出ができませんので、被害者が損害額を算出して
加害者に請求することになりますが、被害者にも損害賠償の知識が
ない場合、被害者自身が損害賠償知識を学習するか弁護士や行政書士
などのプロに相談することになります。


そうなると、弁護士や行政書士に費用を支払わなくてはなりませんが、
その費用自体を請求して受け取れるかは、任意保険に加入していない
加害者ですので疑問です。


2つめは賠償金の金額の差です。


自賠責保険の人身傷害部分の限度額は120万円ですので、120万円を
超えた部分は加害者本人の支払いになります。


加害者にお金がなければ、最高120万円の損害賠償になりますが、
120万円が全て傷害慰謝料(通院慰謝料)になるわけではありません。


人身傷害部分の限度額120万円には、治療費や通院交通費、休業損害も
含まれます。


ですので、極端な話、治療費・通院交通費・休業損害・慰謝料の合計
が120万円を超えてしまうと、治療費が最優先に支払われ、通院交通費
・休業損・慰謝料は、120万円から治療費を差し引いた金額しか支払わ
れません。


例えば、治療費が110万円かかったとすると、通院交通費・休業損害
・慰謝料の合計が100万円だとしても、120−110=10万円しかもらえ
ないことになります。


そのよう場合、残りの90万円を加害者に直接請求することになるので
すが、加害者が支払ってくれないと困ってしまいます。


これは、加害者が任意保険に加入していない場合のお話です。


本日のお話の中では、事故受傷から示談までの流れに関してでした
ので、示談の際の賠償金額に関してや、保険会社からの提示額が
適正であるかとういような内容は、又後日お話します。


ただ、交通事故損害賠償金の支払い基準は3通りあり、どの基準を
選択しても自由だとうことだけ知っておいてください。


支払い基準の大きな分類では、自賠責保険支払い基準、任意保険会社
が独自に定めた基準、地方裁判所支払い基準の3通りになります。



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【交通事故損害賠償の知識】ひき逃げ、保険未加入、無免許…被害者の補償は? [交通事故]

GW中の高速バス事故、そしてその前の京都 祇園そして亀岡でも最悪な交通事故が続いています。

交通事故は誰でもが遭遇する可能性がありますが、今回はその中でも最悪のケースを想定してみましょう。

強制力のある自賠責保険とは違い、任意保険に加入していない車も走っています。そのような無保険の車との事故やひき逃げされてしまい相手が特定できない事故で被害者になってしまった場合、補償はどうなるのでしょうか?

加害ドライバーに過失があっても 任意保険アリなら被害者は補償される

加害車両が任意保険に入っている場合、通常の交通ルールを守って運転していれば任意保険は全て使うことができます。しかし、「酒酔い・無免許・麻薬服用時」は次のようになります。

対人賠償 ○
対物賠償 ○
搭乗者傷害保険 ×
人身傷害補償保険 ×
自損事故保険 ×
無保険車傷害保険 ×
車両保険 ×

事故で被害を負わせてしまった人や物は任意保険で補償することができます。これは保険が被害者救済の意義を持つことを裏付けています。しかし自分が死んだり、車が壊れたりしても補償を受けることはできません。

加害車両が任意保険に入っていない場合

損害の大きさはケースバイケースですが、加害車両の自賠責保険から次の内容で保険金を受け取ることができます。

人身のみ
傷害 最高120万円
後遺障害 最高4000万円
死亡 最高3000万円

昨今の対人賠償による補償額は増加傾向にあり、亡くなった場合は億単位の賠償金になることも珍しくありません。もし自賠責にしか入っておらず、重大な損害が発生した場合、加害者は一生をかけて賠償金を支払い続けることになります。

自賠責すら入っていない、 またはひき逃げされた場合は?

加害者が悪質で、「自賠責保険に入っていない」「盗難車両だった」「ひき逃げ」といった事故に巻き込まれた場合、残念ながら自賠責保険からも保険金を受け取ることが出来ません。

このような場合に限り、政府が行っている「政府保障事業」を利用することになります。支払われる内容は自賠法に基づいており、てん補される金額は自賠責保険と同様になります。なお、自賠責保険と重複して支払われることはありません。

政府保障事業は自動的に受け取れるものではないので、必ず請求する必要があります。3年間で時効となるため早めの請求が必要です。またてん補を受け取るまで半年から1年以上かかるのが一般的です。

被害者が任意保険に入っていれば……!
加害者がひき逃げ、保険未加入だった場合に、被害者(または同居の家族)が任意保険に入っていれば次の保険から支払いを受けられる可能性があります。

「人身傷害補償保険」
契約者を含む同居の親族で、歩行中の事故や他の車に乗車中の事故も補償される契約なら保険金額内で保険金が支払われます。

「無保険車傷害保険」
任意保険に加入していれば必ず付帯されています。保険金額は最高2億円で一律です。

事故に遭わないのが一番ですが、もし遭ってしまっても、状況によっては自分の任意保険から支払いを受けることが可能です。被害に遭った場合は契約内容など詳細について確認しましょう。


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【交通事故損害賠償の知識】示談?訴訟?それとも・・・あっ旋? [交通事故]

ひさびさの交通事故テーマですが、きょうは解決の基本についてお話しようと思います。

事故で受傷してしばらく通院をし、症状も良くなったので治療を終了して、最終的な解決をする時のお話しです。


交通事故で死亡した遺族の場合や重大な後遺障害を残した場合を除き、普通は保険会社と話し合って示談することがスタンダードです。


本当に軽微な事故ではそれで問題ないのですが、後遺障害は残らなくても、通院期間が長くある程度の請求額になる案件では、保険会社と直接交渉すると損をすることもあります。


後からお話しをしますが、後遺障害が認定された場合は、地方裁判所支払い基準で解決するためのあっ旋機関を利用することで、受取れる損害額はかなり多くなります。


保険会社と直接交渉をして解決するか、その他の方法で解決をするか判断する目安としては、自賠責保険支払基準で算出した金額と地方裁判所支払基準で算出した金額との差がどの程度あるかになります。


自賠責保険支払基準と比べた理由は、任意保険が会社の提示してくる金額におおよそ近いからです。


ほとんどの場合、任意保険会社が独自の基準で計算をしましたとする数字は、限りなく自賠責保険支払基準に近いため、任意保険会社からの損害額計算書が来る前から予測できます。


考え方にもよりますが、自賠責基準と地裁基準とで計算した金額が数万円〜十数万円程度の差であれば、保険会社に慰謝料を多少上乗せしてもらい示談に応じた方が、費用対効果的には良いと考えます。


差額が少なくとも50万円以上あるような場合であれば、無料のあっ旋機関を利用して差額を請求することを視野に入れて行動しても良いと思いますが、お住まいの地域によっては交通費や宿泊費が発生し、50万円が適切な金額ではない場合もありますので、ケースバイケースです。


保険会社と話し合って示談をするか、無料のあっ旋を利用して和解をするかは、費用対効果の考え方に個人差がありますので、あくまで本人次第です。


被害者の請求額と保険会社の提示額の差が50万円以上ある場合、保険会社と直接交渉をしてもその差が劇的に縮まることはないと考えるのが一般的です。


保険会社と交渉をしても金額差が縮まらない場合、多くの方は裁判を思い浮かべることはできますが、先程出てきた無料のあっ旋を思い浮かべることはないと思います。



裁判は費用が掛かるので、逆に損をしてしまうかも知れないという憶測から、仕方なく保険会社が増額してくれた雀の涙ほどの金額で示談してしまう被害者さんが沢山います。


しかし、そのような時こそ無料のあっ旋機関を利用し、地方裁判所支払基準で解決を目指す賢い被害者にならなくてはいけません。


先ほどから何度も出てくる無料のあっ旋機関とは、交通事故紛争処理センター及び日弁連交通事故相談センターのことです。


加害者あるいは加害者の代理人(任意保険会社を含む)との示談交渉
がまとまらない場合、訴訟や調停で解決する方法もありますが、賢い
被害者は無料の和解あっ旋機関である、財団法人交通事故紛争処理
センターや日弁連交通事故相談センターの利用を利用します。


この二つの機関は、いずれも弁護士が無料で被害者の相談に応じてくれ、
中立の立場で保険会社と被害者の間に立って地方裁判所基準での和解の
あっ旋をしてくれます。


被害者にとってはありがたい存在です。


では先ず、交通事故紛争処理センター(以後 紛セン)からお話します。



■ 財)交通事故紛争処理センター http://www.jcstad.or.jp/


当センターは、事故に遭われた当事者の面接相談をとおして、弁護士や
法律の専門家による交通事故の相談・和解のあっ旋、審査を行います。


当事者間において、損害賠償などの問題について解決が図れないと
きに、公正・中立の立場で、無償で紛争解決するためのお手伝いを
する公益法人です。


紛センは全国の以下の場所に、1本部、7支部、2相談室があります。


東京本部 札幌支部 仙台支部 名古屋支部 大阪支部 広島支部 

高松支部 福岡支部 埼玉相談室 金沢相談室


紛センを利用する際には細かい制限がありますので、注意が必要です。


ごく普通の交通事故被害者であれば問題なく利用できますが、
以下の場合は紛センが利用できませんのでご注意下さい。


■ 自転車対歩行者・対自転車事故による損害賠償に関する紛争


紛争処理センターはあくまでも自動車事故により損保会社と被害者の間に発生した紛争を解決するところですので、自転車対歩行者、自転車対自転車のような損害賠償は、自賠責保険や任意保険とは異
なる賠償保険でなされるため、あっ旋することが出来ません。


■ 搭乗者傷害保険や人身傷害補償保険など、相談者自身が契約している

 保険会社または共済組合との保険金、共済金の支払いに関する紛争


これは、被害者自身が加入している傷害保険であり、加害者加入の保険会社との紛争ではありません。

ですので、被害者自身で解決をしなくてはいけませんが、傷害保険の性質上保険金額を争う事はできません。

■ 自賠責保険後遺障害の等級認定に関する紛争


自賠責調査事務所で決定する後遺障害等級についての争いは、損害の争い
ではありませんので、紛センでは解決できません。



■ 相手方が自動車保険(共済)契約をしていない場合


自動車保険に加入していないということは、加害者本人に損害を請求することになり、紛センの保険会社と被害者間の紛争を解決するという趣旨から外れてしまいます。


■ 相手方が契約している自動車保険(共済)に示談代行サービスがない場合



示談代行サービスがない場合は、保険会社は紛センに来て和解の協議をする
ことが出来ませんので、実質紛センでは解決できないということになります。




■ 相手方の共済が、JA共済連、全労済、交協連、全自共、共済連以外


JA共済連、全労済、交協連、全自共、共済連は紛センの裁定に従うと
していますが、その他の共済は従わないという誠に不条理な現実があります。


被害者は、加害者が加入する任意保険を選べませんので、運が悪いと
いうことになってしまうのですが、それにしても、同じような事故の
被害者で加害者の加入している保険によって損害賠償額に大きな差が
出てしまう現実には、何か釈然としないものがあります。




■ 損害賠償請求権者が治療中である場合


 ・治療は終了したが、後遺障害認定手続が未了の場合

  
 ・後遺障害認定等級手続に対する異議申立が未了の場合


 ・後遺障害等級認定手続について紛争処理機構に申立中の場合



後遺障害が確定していませんので、当然総損害額も確定していませ
んので、保険会社と損害賠償額で争いは生じていないとの解釈です。



民事訴訟における交通事故損害賠償請求は、総損害額が確定した
時点で債務を支払えばよい事になっていますが、任意保険会社は
任意一括対応をしている場合、総損害額が確定する前でもサービス
として被害者に立替払い、いわゆる内払をしています。



■ 訴訟または調停が行われている場合やセンター外で当事者間で示談が成立した場合


訴訟や調停が行われている場合や示談が成立している場合は、紛センでの解決は必要ないわけです。


■ 不正請求等不当な目的であっ旋手続等の申込みがされた場合


常識的なことですが、保険金詐欺に加担することはありません。



■ あっ旋手続等を受けようとする利用者(相談者)が権利または
  権限を有していない場合


これは、紛センの利用規定に「利用者等は、名目のいかんを問わず、
代理人弁護士以外の者をセンターの利用手続に参加させたり、同席
させるなど、関与させることはできない」とされていますので、
基本的には代理人として紛センに行くことはできません。


ただし、相談担当者または審査会が特に認めた場合は、この限りではありません。


以上のようなことに留意して利用すると、訴訟をした場合の80%〜90%
程度の損害賠償での解決が場合によっては可能となりますので、保険会社
の提示額と地裁基準での算出額に大きな開きがある場合はご利用になって
はと思います。


紛センでの損害賠償額を最大にする方法がありますが、紛センの規約により
紛センでの相談内容や個別の事案については、インターネットその他の方法
で公開を禁止されていますので、残念ながらお教えできません。

■ 日弁連交通事故相談センター


次に、紛センと同じように無料で被害者と加害者側の保険会社との間で、
和解をあっ旋してくれるところが日弁連の無料交通事故相談センターです。


日弁連交通事故相談センター http://www.n-tacc.or.jp/


日本弁護士連合会(日弁連)が、基本的人権の擁護と社会正義の実現を図る
ため、昭和42年、運輸大臣(当時)の許可を得て設立した財団法人です。



運営は弁護士が当たり、自動車事故に関する損害賠償問題の適正かつ迅速な
処理を促進し公共の福祉の増進に寄与することを目的として、現在、
全国148ケ所で相談を、35ヶ所では示談あっ旋および審査を、弁護士が無料で
行っています。




当交通事故相談センターは、国(国土交通省)からの補助金、日弁連、
弁護士会、弁護士、関係団体や寄付金などで運営されています。


こちらも、損害額を地方裁判所支払い基準で算定してくれます。


審査になった場合、JA共済、全労災、自治共済、生協は基本的には
審査結果に従うとされています。



■ 紛センと日弁連交通事故相談センターどちらを選ぶ?



では、実際に紛センと日弁連事故相談センターのどちらを選べば
よいかですが、保険会社への拘束力だけで選べばよいかというと、
そうでもありません。


なぜかと言うと、紛センは全国に本部、支部、相談室を合わせても
10ヶ所しかありませんので、相談まで予約から3ヶ月程度かかるのが
普通になっています。(キャンセルがでた場合は繰り上げもあります)


また、10ヶ所ということで全国各都道府県にあるわけでなく、
各地方に1つといった感じのため、被害者の住んでいるところに
よっては日帰りで相談に行くことが不可能な場合もあります。


それに比べ、日弁連交通事故相談センターは全国148ヶ所もありますので、
手軽に利用することができます。


裁定に従う保険会社の種類と所在地により柔軟に選ぶことが大切です。


以上のことを検討していただき、費用対効果を検証した後に、ご自身の体調も考慮し決定されてはと思います。


地裁基準での解決は、被害者にとって損害賠償額を最大にするための
切り札ですので、十分に学習されることをお勧めします。


被害者の最大の武器は知識です。



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自転車のマナー悪化は見逃せない! [交通事故]

相次ぐ自転車事故を受け、警視庁は自転車について、原則、車道の左側を走行することを周知徹底させる方針を盛り込んだ「自転車安全対策」を作成する。

今年8月までに東京都内で起きた自転車が絡む事故は交通事故全体のおよそ4割と過去最悪に迫っており、警視庁は全国で初めての措置を取ることを決めたのである。
自転車事故.jpg
警視庁は自転車ブームが高まった数年前から摘発強化に乗り出している。
昨年の取り締まり件数は信号無視が300件(前年比189件増)、ブレーキのない競技用自転車「ピスト」など制動装置不良が661件(同659件増)に上り、今年はさらに昨年を上回るペースだという。
一方、歩道での高速走行や一時停止違反の摘発はほとんどなく、警視庁幹部は「黙認と受け取られても仕方がない側面もあった」と話す。
今後は道路交通法の規定通り、子供や高齢者らを除き車道の左側を走るよう促し、走行可能な歩道を走る場合も安全徹底を求める方針とみられる。

震災後、急増した自転車事故
東日本大震災以降、通勤・通学に自転車を利用する人が増え、交通事故全体に占める自転車事故の割合も増加している。
警視庁は「震災後、交通網のマヒに伴う帰宅難民への不安から自転車通勤に切り替えた人が多かったのではないか」と分析しており、13日には自転車通勤を奨励する企業担当者らを集めた対策会議を開き、交通ルールの順守を呼びかける。

警視庁によると、今年3月~8月に起きた自転車通勤・通学中の事故件数は、前年同期より96件多い2129件。今年1月と2月は前年を下回ったが、3月を境に増加に転じ、4月は前年より56件多い400件。その後も増加傾向が続いている。事故の発生時刻は午前8時~10時が全体の約32%を占め、午前6時~8時が約20%でこれに続いた。
形態別では、信号無視や飛び出しにより、交差点で車やバイクと出合い頭に衝突するケースが目立ち、マナーを守れば防ぐことが出来る事故が多いといえる。


最近、ノーブレーキピストの問題など自転車のマナー悪化が社会問題となっている。車と異なり、自転車は免許もなく、運転開始の際の心理的な障壁も低いといえる。確かに自転車は小型であるが、自動車と同様に動く凶器となりうることを自覚すべきであると思う。

自転車事故を起こしてしまうと、民事責任として、被害者の治療費や入院費、休業補償などを負担し、後遺障害が残った場合は逸失利益や慰謝料の補償をしなければならない。また、死亡した場合は、葬儀費用や逸失利益の補償、慰謝料などを支払う義務が発生する。

さらに刑事責任として、自転車側の重大な過失により人を死傷させた場合、重過失致死傷(刑法第211条第1項後段)に問われる場合もあることを、改めて心に留めておきたい。

自動車事故の場合、賠償額がいくらになろうと一定程度は自賠責保険から支払われる。
自転車の場合、このような制度がないところから被害者と加害者の悲劇は始まるといえるだろう。
そろそろ、自転車にも何らかの制度設計に着手すべきときなのではないだろうか。



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【交通事故損害賠償の知識】交通事故で労災は使えるか? [交通事故]

今回は、通勤途中や仕事中の交通事故で受傷をした際、労災が使えるというお話です。


通勤途中の事故で怪我をしても、加害者の加入する任意保険が治療費や休業損害を補填してくれるので労災は使えないとか、任意保険会社が補填をしてくれるのであれば届ける必要もないと思っていらっしゃる方が結構多くいらっしゃいます。


ところが、場合によっては労災の届けをしておくことで治療の打ち切りの心配がなくなったり、後遺障害認定で有利になったりすることもあります。

又、合法的に通常の120%増しで休業損害金を受け取る方法もあります。


本日は、交通事故受傷と労災のそのような点についてお話をしたいと思います。



かつて相談者から時々次のようなご質問を受けたことがあります。

「事故から5ヵ月経ったけど、通勤途中だったので労災が使えるらしいと聞いたので、今から届けを出すことは出来るのでしょうか?」


「業務中の事故なのですが、加害者の加入する保険会社が全部払うと言っているので、会社から労災は使えないと言われましたが本当ですか?」

この様なご質問ですが、基本的には通勤途上や就業中の負傷であれば労災に届ける事になっています。

ただ、会社の労務担当者の知識不足などから、労災の届けを出すと保険料が上がったり、監査に入られたりすると思い込み届けを出さない場合が多いようです。

しかし、本当はそのような事はありませんので、具体的に労災についてお話をしていきます。


労災は労災保険のことですが、正式名称は「労働者災害補償保険」といいます。

労働者災害補償保険法が定められ、厚生労働省の管轄です。

労働者災害補償保険法の目的を条文で見てみましょう。


第1条 労働者災害補償保険は、業務上の事由又は通勤による労働者

の負傷、疾病、障害、死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするため、

必要な保険給付を行い、あわせて、業務上の事由又は通勤により負傷し、

又は疾病にかかつた労働者の社会復帰の促進、当該労働者及びその遺族

の援護、労働者の安全及び衛生の確保等を図り、もつて労働者の福祉の

増進に寄与することを目的とする。




要約すると、雇用関係にある労働者が通勤途中や業務中に怪我したり死亡したりした時に支払われる保険です。


※交通事故の被害者で労災が認定される場合は、「第三者行為災害」です。



労災には以下のような給付があります。



◆ 療養(補償)給付

・療養の給付


業務災害又は通勤災害による傷病について、労災病院又は労災指定医療機関等で療養する場合



・療養の費用の支給


業務災害又は通勤災害による傷病について、労災病院又は労災指定医療機関以外の医療機関等で療養する場合




◆ 休業(補償)給付


業務災害又は通勤災害による傷病に係る療養のため労働することができず、賃金を受けられない日が4日以上に及ぶ場合




◆障害(補償)給付



・障害(補償)年金


業務災害又は通勤災害による傷病が治ったときに、障害等級第1級から第7級までに該当する障害が残った場合



・障害(補償)一時金


業務災害又は通勤災害による傷病が治ったときに、障害等級第8級から第14級までに該当する障害が残った場合



◆ 特別支給金


保険給付とは異なる支給金です。



支給金:休業特別支給金・障害特別支給金・障害特別年金・障害特別一時金



通勤途中や業務中の交通事故で受傷した場合は「第三者行為災害」として労災が認定されます。



交通事故で労災認定された場合、労災から支払われる物としては、治療費、休業損害、交通費など通常加害者が加入している任意保険から支払われる項目と同じです。



ここで、交通事故の加害者が支払うべき損害を何故労災が支払うのか、それはおかしいと思った方もいらっしゃると思います。



加害者もしくは加害者加入の保険会社(自賠責・任意)が本来支払いをするべき加害者の不法行為による損害ですので、その損害を労災が支払う義務も責任も全くありません。



ですので、交通事故に限らず被災害者が自らの不注意で怪我をしたのではなく第三者(他人)の不法行為により怪我をさせられた場合を「第三者行為災害」といい、通常の労災と区別しています。



例えば、交通事故でなくても通勤途中に工事現場の資材が頭上に落ちてきて怪我をさせられた場合などは、労災でいったんすべての費用を立て替えて被災害者に支給をし、労災で立て替えた費用(損害)は最後にまとめて加害者に請求し回収します。



この根拠は、労働者災害補償保険法第12条の4(第三者の行為による事故)で以下のように法的に定めれれています。



労働者災害補償保険法第12条の4

(1)

政府は、保険給付の原因である事故が第三者の行為によって生じた

場合において、保険給付をしたときは、その給付の価額の限度で、

保険給付を受けた者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。



ですので、本来は被害者が加害者に対して治療費や休業損害の請求権を所有していますが、労災を使用した場合は被害者の持っている請求権を労災が代位取得することになりますので、労災に求償権が発生します。



そこで、労災は被害者に立て替えて支払った損害を加害者に対して請求することが出来ます。



何だか複雑だなとお感じになったかもしれませんが、支払い面に関しては通常の任意保険会社でも労災でも同じと考える事が出来ます。



おそらく、被害者の方も治療費の支払いもなく休業損害をもらう事が出来ればどちらでも良いと思うのではないでしょうか。



しかし、実は被害者の治療継続に関して重大な違いがあり、そのことを知っていて対応するのとしないのでは、後から大きな差が出てくることをほとんどの方がご存知ありません。



通勤途上や就業中に交通事故で受傷した場合、社長や事務担当者が労災の届けを出したがらない傾向にあります。


社長や労務担当者が労災にしたくない理由としては、「事業所で労災を使用すると、労災の保険料が高くなる」という思い込みがあるからです。


これは、労災を使用しない事業所の労災保険料は割引になり、特例を含めると最大45%ほど保険料が安くなるという労災保険のメリット制に深い関係があります。


社長や労務担当者は労災保険料の支払いが増えることを考え、社員に労災を使用させたくありません。

※ 事業所の常時雇用人数や事業種類によってはメリット制が適応にならない
  場合もあります。



ただ、交通事故は第三者行為によるもので、負傷の責任は加害者で事業所の安全管理ではありませんので、労災を使用してもメリット制に影響はありません。

しかし、そのことを知らない社長や労務担当が労災の届けを嫌がっています。


ただ、、労災は被害者とって色々な面で有利ですので、その誤解を良く説明して労災届けを出してもらうようにしなくてはなりません。


特に、被害者にも過失がある場合や大きな怪我で長期間通院しなくてはならないような場合、会社が何と言おうと労災にしたほうが絶対に有利になります。


「会社が労災にしてくれないから仕方がない」などと諦めてはいけません。


最終的な損得は被害者のみに生じ会社には全く関係ありませんので、労災の届を頑張って出すようにして下さい。


ただ、軽微な事故で治療も数週間で終るような場合は、あえて煩雑な労災にすることもないとは考えています。



通勤途中や就業中の事故であれば基本的には労災ですが、その辺りは臨機応変にご判断いただければと思います。



ところで、労災の届けを出して欲しいと会社に言っても、なんとしても出してくれない場合はどうしたらよいでしょう。

しょうがないから諦めますか?

実は、労災の届けは被害者自身で出来ます。


雇用されている会社を管轄する労働基準監督署に行き、通勤中か業務中かを労基署の人に伝え書類をもらい、必要事項を記載して提出するだけです。


また、労基署でもらった書類の中で「療養給付たる療養の給付請求書」のみを直接医療機関に持っていけば、病院で労災扱いにしてくれますので、その他の書類を後日労基署に届けても問題ありません。



ただ、何だか面倒だなと思われる方も多いのではないでしょうか。



しかし、労災にするかしないかでは被害者の治療継続に関して重大な違いがあり、そのことを知っていて対応するのとしないのでは天と地の差が出ることがりますので、次のことを良くお考えになって下さい。



もし労災ではなく通常の事故の場合はどうでしょう。

治療費や休業損害は加害者の加入する任意保険会社から支払われますが、どちらも任意保険会社の立て替えによる内払で法的拘束のない支払いです。



ですので、任意保険会社が立替を中止する、いわゆる「治療の打ち切り」をした場合、最終的には被害者本人が立て替えて治療を継続するか、治療を中止するかどちらかの選択になってしまいます。



しかし、労災では治療費はいったん労災が全て立て替え、治療が終了してから任意保険会社に請求しますので、途中で治療を中止しなくてはならない好況にはなりません。



安心して納得のいく治療をする事が出来ます。



さらに、休業損害も治療費と同様に労災から支払われますので、任意保険会社による休業損害の払い渋りもありません。



この様なことを知っているのと知らないのでは、治療の継続や休業損害の支払いに大きく影響し被害者自身に直接損得として降りかかってきますので、是非、今回のお話をご理解いただき有効にご活用ください。




被害者の最大の武器は知識です。



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【交通事故損害賠償の知識】示談までの生活費に困ったら [交通事故]

交通事故が多発する時期ですので、運悪く交通事故被害者になってしまうと、最初に経験する不安が保険会社です。

本日は保険会社の担当者が治療費の立替払いを保留したり、休業損害の内払を保留したりすることで被害者の生活費などに支障が出てきた場合のお話です。


追突事故等でムチ打ち症になり後遺障害が認定されるような場合、少なくとも事故受傷から9ヶ月程度は経過しているはずです。

頚椎捻挫などでの後遺障害の申請は、事故受傷から6ヶ月が経過してからでないと申請できません。


後遺障害診断書の作成、自賠責保険への書類の送付、自賠責調査事務所での審査などを考えると、被害者請求による自賠責保険からの保険金の振り込みまで、最低でも事故から9ヶ月以上経過している事になります。



被害者の障害の様態によっては、仕事が通常通りできないため給与や収入が減少している場合もあります。

保険会社からの休業損害の支払が後遺障害診断書を作成した時点、いわゆる症状固定までキチンと支払われていても、その後は支払われませんので、審査に時間が掛かっているような場合は生活費に困る被害者さんもいます。



又、加害者が自賠責保険にしか加入しておらず、被害者も運悪く自身の自動車保険に人身傷害特約などを付加していない場合で、加害者に治療費や休業損害を請求しても無視され治療費の支払や毎日の生活費に困ることもあります。



7月30日にお話をした、加害者から早急に損害賠償の支払を受けたいと思う時に被害者が利用することの出来る「仮渡金・内払」は、あくまでも事故当初に支払う治療費のためでした。


事故からかなりの時間が経過して、おおよその損害額も計算できる段階で生活に困った場合は、法的な措置である「仮処分」を利用することも出来ます。


「仮処分」とは、裁判所を利用して加害者に対し治療費や生活費の仮払いをさせるためのものです。



正確には、被害者から裁判所に対して損害賠償金の仮払いを求める仮処分命令を申し立てる方法になります。



分かりやすくいうと「交通事故の賠償問題が最終的に解決するまでの間、加害者はとりあえず被害者に対して治療費や最低限生活出来る費用を支払いなさい」と裁判所が加害者に対して命令をする事です。



この裁判所の命令により強制執行(加害者の動産を差し押さえ競売し現金化)する事が出来ますので、かなりの威力があります。



ただ、被害者が裁判所に仮処分命令を出してもらうには以下に該当する必要があります。



1.被害者が加害者に対して、損害賠償の請求訴訟を提起して勝訴する見込みがあること。



2.被害者が現在治療費や生活費に困窮していること。



1の「勝訴する見込みがあること」というのは、必ず訴訟を提起しなくてはならないということではなく、すでに仮処分命令する金額はほぼ確定しているという事です。


例えば、すでに通院をした事により得られる通院慰謝料の金額は、実通院日数により明らかなことから、その金額であれば今後必ず加害者は支払わなくてはなりませんので、その範囲内の金額での仮処分命令は可能という事です。



支払う必要があるかないかの争いになる金額に関しては、仮処分命令は出せませんので、「損害賠償の請求訴訟を提起して勝訴する見込み」という言い方になっています。


2の「被害者が現在治療費や生活費に困窮していること」とありますが、どのような状況を生活に困窮しているかという問題もあります。


単に被害者が生活に困窮をしていると言っているだけでは認められず、被害者が生活に困窮していることを証拠によって証明しなくてはなりません。


又、仮処分命令で請求できるのは「損害賠償の請求訴訟を提起して勝訴する見込み」があったとしても、逸失利益までは及ばず、治療費及び毎月の最低生活費が主流になります。


裁判所に仮処分命令の申請をする方法ですが、一般に法律の知識のほとんどない方には無理ですので、弁護士に依頼する事になります。


申請の際の色々な証拠とその立証をしなくてはなりませんし、手続きも相当な法律知識が必要になります。


「えっ!弁護士に依頼する?」

ここで矛盾を感じた方もいらっしゃるのではないですか。

治療費が払えず生活に困窮しているから裁判所に仮処分命令の申請をするのに、弁護士を依頼するお金などないはずだろうという矛盾です。


そのような時のために、日本司法支援センター(法テラス)があります。


仮処分命令の要件として、「損害賠償の請求訴訟を提起して勝訴する見込み」とありますので、その要件を満たしていれば最終的に解決をした時点で弁護士費用や裁判になってしまった場合の裁判費用は回収が可能ですので、その費用を立て替えてくれます。



この仮処分命令による請求金額を多くするために大きく影響するのは何だとお思いになりますか?


通院日数?

休業損害?



実は、被害者に後遺障害が認定されているか否かです。



後遺障害等級によりすでに後遺障害慰謝料額は確定していますし、事故前年度の源泉徴収票があれば逸失利益もおおよそ確定しますので、その金額の範囲内であれば確実に仮処分命令が出せます。



地方裁判所支払基準の赤い本における後遺障害14級の慰謝料は110万円ですので、14級が認定されていれば確実に110万円までは仮処分命令が出来ると考えても良いのではと思います。



ムチ打ちでの後遺障害等級は14級もしくは12級ですので、110万円もしくは290万円程度の仮処分命令は可能になると考えられます。



被害者請求をしていた場合で自賠責保険から直接後遺障害慰謝料が振り込まれていても、自賠責保険支払い基準と地方裁判所支払い基準とでは大きな金額差がありますので、その差額の部分で仮処分命令を利用する事が出来ます。



★ 後遺障害慰謝料


   自賠責保険    地裁基準


14級  32万円     110万円


12級  92万円     290万円


※ 通常自賠責保険の後遺障害慰謝料の金額は一定額の逸失利益を含んだ
  金額が表示されていますので、勘違いされる方が多いようです。
  (14級75万円・12級224万円)



世の中には知らないと損をする情報が沢山あります。



知らないことで生活に困窮し保険会社から兵糧攻めに合い、泣く泣く示談をしてしまう、いわゆる「泣き寝入り」にご注意下さい。




タグ:交通事故
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【交通事故損害賠償の知識】最悪!無保険車にぶつけれらたら?! [交通事故]

きのう、きょう、明日と多くの方は3連休です。
そして秋分の日をはさんでさらに3連休。

あまり言いたくはないのですが、運悪く事故に巻き込まれてしまった方も出てくるのではないかと思います。

でも、加害者が任意保険に入っていれば不幸中の幸いです。


全ての車輌が任意保険に加入しているわけではありませんので、もし加害者が自賠責保険にしか加入していなかった場合や、自賠責保険の期限が切れてしまっている場合は困った事になります。



本日は、そんな時はどうしたら良いかというお話です。



運悪く交通事故で被害者になった場合、加害者が任意保険に加入しているかいないかで補償の情況は大きく変わります。


加害者が任意保険に加入していない場合、物損のみの軽微な事故でさえトラブルが発生します。


通常、自動車を運行するためには自賠責保険の加入が義務付けられていますが、自賠責保険は被害者の最低限の補償を目的に作られた国の制度ですので、人損部分のみの支払いになります。



車の修理代は物損ですから、自賠責保険からの支払いがありませんので、加害者本人に直接請求して支払ってもらう事になります。



多くの方が任意保険に加入する理由として、万が一事故を起し加害者になってしまった時、被害車輌の修理代や被害者の治療費などの支払が高額になると困るからです。


しかし、加害者にそのような考えがないため任意保険に加入をしていないと、被害車輌の修理代や治療費が払えないケースも出てきます。


また、修理代金は支払うといっていた加害者が、いざ請求書を送ると修理代金が高いといって支払わなかったりするトラブルもよくある事です。



加害者が任意保険に加入をしていない場合、さらに困るトラブルとして、被害者が結構大きな事故で重篤な怪我をして通院する場合です。



治療費は人損ですので自賠責保険から支払いがありますが、加害者が任意保険医加入をしていない場合、自賠責保険の人身傷害限度額の120万円を超えると、それ以上の治療費は加害者が病院に直接支払う事になります。



さらに、自賠責保険の人身傷害部分の保険金請求に関しては、加害者が任意保険に加入をしていない場合、代行してくれる機関がありませんので、加害者もしくは被害者が直接自賠責保険に請求をしなくてはなりません。



加害者が自賠責保険に請求する際の最低金額は10万円からになりますので、治療費が10万円になるまでの期間は加害者が立替えて病院に支払う事になります。


ここで、加害者が誠意のある人であれば良いのですが、見舞いにも来ない、治療費も支払わない非常識な加害者の場合もあります。


言い換えれば、加害者がきちんと治療費を病院に支払ってくれれば問題は無いのですが、任意保険に加入していないような加害者ですので、自賠責保険に請求して保険金が支払われるまで治療費を立替えるお金がない、もとから立替えて自賠責に請求する意思もない等、最悪の事態は十分にありえることです。



加害者と連絡すら取れなくなったような場合、被害者はどうしたらよいでしょうか?


泣き寝入りする?



加害者を訴える?



現実的ではありません。



そのような場合、被害者がしなくてはならない事をお話します。



先ず、被害者自身が加入している任意保険で人身傷害特約や無保険車傷害特約が付いているか確認します。

特約が付いていれば、人身傷害特約を使用します。


被害者が加入している保険会社の担当者に、事故の内容と加害者が自賠責保険にしか加入していないことを話すと、担当者は人身傷害特約での対応を開始してくれます。



担当者は、通院している医療機関への治療費の立替払いをしてくれますので、治療費支払いの心配はなくなります。

自賠責のみでは120万円が限度の補償も人身傷害特約を使用すると、特約の限度額まで治療をすることが可能です。

ただ、人身傷害特約を使用する際に考えなくてはならない事が1つあります。



それは、怪我の状態によって後遺障害が残る可能性がある場合、人身傷害特約を最後まで使用するリスクです。



人身傷害特約は被害者が契約している傷害保険ですので、対人賠償保険と異なり補填される金額を争う事ができません。

人身傷害特約で支払われる保険金額は、自賠責保険支払基準に限りなく近い基準で、任意保険会社の基準と似ています。

対人賠償保険と異なり補填される金額を争う事ができないという意味は、後遺障害が認定されても後遺障害慰謝料や逸失利益を地方裁判所支払基準で請求することができないという意味です。



人身傷害特約では、最初から約款に記載されている金額以上の支払いはありません。



保険会社によって異なりますが、人身傷害特約の支払基準は、自賠責保険の支払基準とほとんど差がないと考えて良いと思います。


ですので、もし加害者に財産があるような場合は、人身傷害特約を使わず、加害者に直接請求をすることを視野に入れる必要があります。



ただ、人身傷害特約を使用すると加害者に直接請求する事ができなくなりますので注意が必要です。



人身傷害特約を使用するためには、保険会社に対して今回の事故で被害者が有する加害者への債務の全請求権を委任しなくてはなりません。



そうすると、人身傷害特約の支払に不満があるからと加害者に対して直接損害の請求をする訴訟を提起したくても、損害の請求権自体がありませんので、訴訟することはできません。



ですので、人身傷害特約を使うか使わないかは、十分に情況を把握した上で選択する必要があります。

その辺りの判断は、事故のや加害者の状況によりケースバイケースですので、傷害保険と賠償保険には違いがあることをだけは忘れないようにすれば、必要な時必要に応じて学習することで大損する事を防ぐことができます。



では次です。



本当は人身傷害保険を使用した方が良い事故の場合、被害者が任意保険に加入していなかったらどうすればよいでしょう。


人身傷害特約がありませんので、加害者に治療費を請求する事になりますが、加害者と連絡が取れず支払を無視されたら?

泣き寝入りする?



加害者を訴える?



これも、賢い被害者のすることではありません。



自賠責保険には、「被害者請求」という被害者独自の権利があることをご存知でしょうか?


被害者は、加害車両が加入する自賠責保険に対し、治療費などの損害を直接請求することができます。



自賠責保険への被害者請求は、加害者の同意を必要としませんので、加害者と連絡が取れない悪質なケースでも大丈夫です。

問題点としては、被害者請求は損害(治療費立て替え)が10万円以上にならないと請求できない点です。



10万円未満の治療費は、被害者が1度立て替えなくてはなりません。


自賠責保険に請求する人身傷害部分の損害は、休業損害や通院交通なども含みますので、被害者がそれらをまとめて10万円になった時点で請求します。


被害者請求で治療費は自賠責保険に請求ができますが、1点だけ気をつけないといけない重要な事があります。

被害者も任意保険に加入していない最悪場合、治療費の支払いは当然自賠責保険のみになりますが、人身傷害部分の限度額120万円を超えてしまった分に関しては、加害者に請求する事になります。



当然、加害者が支払わない場合被害者が立替をする事になりますが、なるべく立替えの負担を少なくする、もしくはなるべく治療費を抑えて慰謝料を多く受け取るためには、健康保険の使用が必要になります。



交通事故の治療には、自由診療と健康保険診療があり、自由診療の治療費は医療機関ごとに決めることができます。



医療機関ごとに設定が可能な自由診療による治療費は、健康保険の点数制による治療費に比べ2〜3倍と高額に設定されているのが現状です。



自由診療にしてしまうと、同じ治療をしても健康保険による治療費に比べ数倍の差が出てきますので、自賠責保険人身傷害部分の限度額120万円が早く減っていくことになります。



120万円を大切に使うためには、健康保険を使用し治療費を低く抑える必要があります。



極端な話し、自由診療で治療費が120万円だったとすると、すでに自賠責保険の限度額ですので、通院慰謝料、休業損害、通院交通費などの支払いがありません。



自賠責保険から支払われなかったそれらの損害は、加害者に直接請求をすることになりますが、回収できる保証もありません。


しかし、健康保険を使用して治療をしていれば、2〜3分の1の治療費ですみますので、治療費は40〜60万円になります。



すると、自賠責の限度額120万円までに60〜80万円あるので、その60〜80万円を通院慰謝料や休業損害として受取ることができます。



加害者と被害者の双方が任意保険に加入をしておらず、しかも加害者に財産や資力がない場合、健康保険を使用して治療をすることが重要です。



そうすれば、自由診療ではもらえなかった自賠責保険からの保険金をもらえるる可能性が出てきます。



ただ、交通事故の治療に健康保険を使用する際は、健康保険組合に「第三者行為届け」を提出する必要があります。



「第三者行為届け」とは、健康保険組合が負担した7割を加害者に求償する為に必要な書類を提出する手続きのことです。



手続きをしないと、場合によっては健康保険組合が負担する7割の治療費を、加害者ではなく被害者に請求することもありますので、十分注意が必要です。



よく病院の受付近くに、「交通事故の治療には第三者行為届けが必要」といったポスターが貼ってあると思います。



今度病院に行くことがありましたら、気をつけて探してみて下さい。



まとめとして、交通事故の被害者になった際、加害者が任意保険に加入していない場合や、被害者自信が任意保険の人身傷害特約に加入していない場合、治療は健康保険を使用した方がよいという事です。



これは覚えてください。



また、加害者が任意保険に加入をしておらず、治療費を支払ってくれない場合、加害者の了解を得ずに加害車輌の加入している自賠責保険に対し、被害者が直接損害を請求する「被害者請求」が出来る事も覚えておいてください。




被害者の最大の武器は知識です。





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【交通事故損害賠償の知識】失業者には休業損害が出ない?! [交通事故]

本日は、休業損害についてお話をしようと思います。


現在色々な理由で失職する方が増えていますが、交通事故の被害者になった時点が、運悪く会社を退職もしくは退職させられたすぐ後だったら、休業損害を請求できるかできないかという事です。


通常、サラリーマンなどの給与所得者は給与減額証明書で請求し、個人事業主は確定申告額を基準に算出した損害額を請求する事になります。

では、失業者はどうなるのでしょう?

普通は収入がありませんので、休業損害は請求できないと思われていますが、100%請求できないわけではありません。


「分かった!」


「無職でも株や不動産等から収入がある人は、その金額を請求できるからでしょう?」
と思われた方は、残念ですが外れです。


交通事故で入院をしたからといって、株や不動産等からの収入には影響がありませんので、そのような不労所得に関しては請求することはできません。

では、一般的に失業者は休業損害が発生しない、失業者は休業損害は請求できないと言われている理由は何でしょう。


それは、自賠責保険支払基準に失業者の休業損害がないからです。

しかし、地方裁判所支払基準においては、失業者の休業損害が無職者の項に存在します。


地裁基準での無職者は、失業者、学生・生徒・幼児を示しますが、その中で失業者の部分をお話します。



■ 地方裁判所支払基準における失業者の休業損害

地裁基準の1つである「青い本」において、失業者が事故で怪我をしても、普通は休業による減収は発生しないとして、「失業中のものには原則として休業損害は生じない」としています。


※ 赤い本・青い本の解説記事はこちら↓

http://safely.blog115.fc2.com/blog-entry-33.html



しかし、如何なる場合にも休業損害が生じないわけではないとし、「就職が内定している場合とか、治療期間内に職を得る※蓋然性が高い場合には、休業損害が認められる」としています。



赤い本では、「労働能力及び労働意欲があり、就労の蓋然性があるものは認められるが、平均賃金より下回ったところになろう」としています。



■ 失業者の休業損害が認められやすい例

最も認められやすいのは、新規採用で就職が内定している場合や就労関係が具体的に予定されている場合です。

一般の雇用形態であれば、就職が決まっていた会社に交通事故受傷の治療のために出社できず、正式に社員としての扱いがなくても、就職先の会社から支払われる予定であった給与を休業損害として請求することが可能です。

又、派遣契約のような就労形態では、就職直前に交通事故にあい通院をしなくてはならないということを連絡すると、契約を解除されてしまう場合もあります。

しかし、その場合でも雇用契約を交わした時点での給与の金額は決まっているので、その金額を休業損害として請求する事ができます。


これらの事例では、すでに就労することが決まってる事実があるので、保険会社に休業損害の請求をすると普通に支払われます。

次に認められやすいのは、就労開始時期が具体的に予定されていなくても、就労開始のために何らかの準備をしていた場合、又は、就職活動のために会社訪問や履歴書の送付などの具体的な行動をし
ていた矢先の事故などです。

リストラされてハローワークに通っていたり、就活中であれば、その行動を立証する何らかの物的証拠を提示することで休業損害の請求は可能になります。


ただ、給付金をもらっている期間に関しては請求できませんのでご注意下さい。


失業中でも休業損害の請求が可能な場合もあることがお分かりいただけましたでしょうか。


保険会社に「失業中だから休業損害はありませんよ!」といわれて、そうですかと黙っているようでは大損します。


被害者の最大の武器は知識です。



タグ:交通事故
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