改正割賦販売法とクーリングオフ [消費者問題]

改正割賦販売法は平成21年12月1日から施行され、早や2年が経過致しました。 
この改正の目玉の一つはクレジット契約のクーリングオフです。

 クーリングオフは条文上、訪問販売ならクレジット申込書又はクレジット契約書の受領
した日から8日以内とされます。

 尤もクレジット契約書に不備があれば法定交付書面を受領していないことになり、
何時でもクーリングオフが可能になります。

 これは法律上「クーリングオフ」の起算点が「法定書面」を交付した日とされているからです。
 
 従来、クレジット契約書をチェックしていて感じるのは、クレジット会社は
改正割賦販売法を殆ど留意しているように思えない、つまり改正割賦販売法に基づき
契約書を改訂しているとは思えない。

 例えば、商品が主に事業者を対象にしている場合、契約書に「商行為対応」などと書い
てあり、クーリングオフに関する事項が記載されていなかったりします。

 しかし、訪問販売など特定商取引法上の5類型に係る契約の場合、事業者の契約で
あっても「営業の為若しくは営業として」の契約に該当しない場合には、クレジット契約
のクーリングオフが可能です。

 商品が事業用か家庭用かに関係なく特定商取引法上の5類型に係る契約の場合には
クーリングオフに関する事項をクレジット契約書に記載する必要があることは条文上から
明らかです。

また、「商行為対応」という文言をそのまま残していることも、改正割賦販売法で「商行為」
という文言を使用していないのですから、改正割賦販売法に対する配慮を伺わせない
印象を与えます。

 次に、クレジット会社の加盟店調査義務・不適正与信禁止義務があります。
これは判例で認められていた義務を条文化したもので、悪徳販売店の淘汰に狙いが
あります。

 クレジット契約書には加盟店調査義務に基づく販売契約の勧誘等についての
調査結果を記載しなければならなくなりました(割賦販売法第35条の3の9第3項4号)
しかし、この記載があるクレジット契約書を今のところ見たことがありません。

 
 最後に、訪問販売でクレジット契約を締結した場合の法定交付書面は何通になるか、
そしそて改正割賦販売法により追加された法定記載事項について整理して置きます。

 訪問販売業者と申込と同時に売買契約を締結した場合には、申込書面は不要で
売買契約書が1通あればよいのですが、クレジット関係の書面では申込と同時に締結
したとしても、クレジット申込書面とクレジット契約書の2通が必要になります。

 そして、クレジット申込書がクレジット契約書より先に交付されていた場合には、
クーリングオフの起算点はクレジット申込書面の受領日になります。

次に、追加された法定記載事項ですが、
 訪問販売業者の売買契約書には、クレジット契約のクーリングオフにより
売買契約もクーリングオフされたものと見做されること(割賦販売法第35条の3の8
第8号)が追加されました。
 
 クレジット申込書には、販売契約の勧誘等についての調査の対象となるべき
事項が追加されました(割賦販売法第35条の3の9第2項3号)。


 なお、インターネットによる売買契約の場合、法律上は「通信販売」ということになるので原則クーリングオフ規定の適用がありません。
 事業者別に「クーリングオフ」規定をおいている場合がありますが、これはあくまでも「契約上」の規定なので、お気をつけください。



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コメント 2

あき

ここのWEBページにあやまって乗ってしまった記事があるのですが個人情報にかかわることなので消したいのですがお願いできますでしょうか?
by あき (2012-03-05 04:43) 

くりおね

あきさんこんにちは。その個人情報はどの記事のどの部分でしょうか?
特定できれば消去処理をしますので、具体的に指摘してください。
by くりおね (2012-03-06 20:57) 

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